来春開幕する大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を象徴する施設となる「シグネチャーパビリオン」。現代の日本を背負う8人が、それぞれのテーマ館を展開する予定だが、このうち生物学者で作家の福岡伸一さんがつくる「いのち動的平衡館」の展示物の一部が11月26日、初公開された。
公開されたのは、同館の中心的な展示物となる「クラスラ」。直径10㍍、全周30㍍の円柱状をした立体的なシアターシステムだ。約32万個の発光ダイオード(LED)で、無数に広がる点描のような光を演出でき、細胞分裂や生物の誕生などを描く。
福岡さんが提唱する動的平衡の概念を盛り込んだこの展示物。生物を構成する原子や分子は常に形を変え、分離したり結合したりしながら細胞として生命を作り出しており、38億年前から続くその姿を光で表現した。
福岡さんは「20世紀の万博はテクノロジーや物産の展示場だったが、21世紀はビジョンや哲学を世界に発信する実験の場」と捉えており、「クラスラを通して発信するメッセージを、受け手が独自に解釈してくれることを期待している」という。