〝食の安全〟に企業も注力 有機野菜の定期配送/無添加コロッケで差別化

 健康ブームが続き、食にも関心が高まっている。日本政策金融公庫が行った「消費者動向調査(2024年1月)」では、「食に関する健康志向」が2半期連続で上昇したことがわかった。今回は、安全を追求した商品を提供する会社を取材した。

有機野菜を収穫するサードライフの中田社長
有機野菜を収穫するサードライフの中田社長

JAや農家と連携

 有機野菜を定期配送するサービス「やさいのキラメキ」を野菜の日である8月31日に始めたサードライフ(神戸市)。同市北区にある自社農園や近隣の参画農家で採れた旬の野菜を提供している。
 有機野菜とは「化学肥料、農薬を使用しない」「遺伝子組み換え技術を利用しない」「環境負荷をできる限り低減する」農業で生産した野菜のこと。国内では慣行農業が主流で、農水省によると、有機農業の取組面積は22年度時点で全体の0・6%。前回調査より増えたが、まだ少ないのが現状だ。
 同社の中田和寿社長は「有機栽培は技術の継承が難しく、管理が大変。その上収穫量が少なく成長速度が遅いなど、生産者側に一定の覚悟が必要だ。一方、自然の力で育った野菜は栄養価が高く安心して食べられる」と話す。

会社の福利厚生に

 同社では、企業の福利厚生として「やさいのキラメキ」を活用してもらおうと、取引企業にテスト提案したところ、満足度は99%となり、そのうち96%が導入したという。
 現在、JA兵庫六甲と提携し、有機野菜の拡大を図っている。中田社長は「有機栽培の認知度向上とともに、有機農家と共創してブランディングしていきたい」と熱く話す。

大手専属から脱却 オリジナル開発

 無添加のコロッケを製造する合同食品(豊中市)。20年に新設した工場では、黒豚入りポテトや黒毛和牛コロッケ、極上ミンチカツなどの定番商品からご当地コロッケ、OEMまでさまざまなコロッケを製造している。

コロッケの製造でジャガイモをすりつぶす工程=豊中市の合同食品
コロッケの製造でジャガイモをすりつぶす工程=豊中市の合同食品

 創業は1983年で、先代は大手食品加工メーカーから製造を受託していた。当時、IT企業でシステムエンジニアだった現社長の和田友宏氏は、父親の体調不良をきっかけに家業を継ぐことに。「最初は右も左も分からないまま工場を動かしていたが、加工食品には、調べれば調べるほど疑問視してしまう農作物や原料が使用されていることが分かった。わが子にも安心して食べさせられるコロッケを作ろうと出来上がったのが今の無添加コロッケだ」と和田社長。
 商品には主に国産の材料を使い、農薬などが不使用の野菜を選択している。また、保存料や化学調味料といった食品添加物を加えずに提供している。

 「食べたものが人の体を作り、心を作る。コロッケを通して自然な食を提供したい」(和田社長)