最近、独自のブランドイメージやストーリーを持つことで、同業他社と差別化を図る企業が増えている。「リゾートバイト.com」を運営するグッドマンサービスも派遣会社ではあるが、企業と求職者をつなぐ役割だけではなく、地方活性にも繋がる取り組みをしている。
沖縄や北海道、軽井沢などのリゾート地のホテルや旅館に1週間から3カ月程度、 住み込みで働く〝リゾートバイト〟。住み込みなので生活費を抑えながら働けるうえに、リゾート地ならではのアクティビティや観光を楽しめるのが特徴だ。
コロナ禍が落ち着き、最近は外国人観光客が増え、観光業も好況だ。同時に地方への応募も増えており、長期休暇中の学生や短期間でお金を稼ぎたい若者にとって、うってつけの仕事として人気を集めているという。
実際の職場をのぞいてみよう。例えば、沖縄名護市のリゾートホテル。職種はホテル内のウェイター・ウェイトレス業務で時給は1200円。1日7・5時間勤務で働く期間は3カ月以上。ワンルームの個室寮と食費も無料だ。常時50人ほどが勤務しており、夏の繁忙期には200人以上が住み込みで働く。20、30代が多く、月5~8日前後の休暇には、仲良くなったバイト仲間と観光に出掛けたり、社員割り引きを使ってホテルのアクティビティー楽しんだりしているという。
現在の日本は少子高齢化の影響で人口が減少。地方の過疎化が進んでいる。このため、地方観光地は〝働き手〟の確保が困難になっており、特に若年労働者をを現地で確保するのが難しい状況にある。
このため、同社では全国から求職者を募集。地方観光地に人材を派遣することで、リゾート地の人材不 足を解消。同時に観光地の活性化に貢献している。
同社の取引先である地方の観光・宿泊施設によると、「人材がスムーズに確保できることで、宿泊者を受け入れる準備がしやすく、多くの予約を受けられるようになった」「さまざまな地域から働きに来てもらえるので、地元住民が気がつかない〝観光客視点〟で新たな土地の魅力を知れる機会になっている」などリゾートバイトならではの〝人材交流〟のメリットが生まれている。
同社は2002年に創業。長く東京の本社を拠点に全国各地へ人材を派遣してきたが、今年6月には大阪支店を開設した。関東近郊に比べ、これまで顔を合わせる機会の少なかった西日本エリアの派遣スタッフと直接コミュニケーションが取れるようになり、同エリアの観光地の活性化に繋がる取り組みを強化できるようになった。
広報担当の中村瑞穂さん 「地方観光地の人材不足解消だけでなく、インバウンドも含めた集客にも貢献できれば地方を活性化でき、地方創生にも繋がる。求職者と地方の関わりを通して日本の観光業を盛り上げていきたい」と話している。