少人数できめ細かな教育を実現 【都島区】市立内代小・枝元哲校長にインタビュー

 「主体的・対話的で深い学び」をスローガンに少人数ならではのメリットを生かし、一人一人を大切にした教育活動を行う大阪市立内代小学校。幼保との連携や自然体験学習にも力を入れる同校の枝元哲校長に話を聞いた。

大阪市立内代小学校の枝元哲校長

ー学校の雰囲気や特徴を教えてください

 児童222人、教員17人と都島区内では最も小さな学校です。少人数のメリットはたくさんありますが、子ども一人一人に目が行き届く、きめ細かな教育が本校の自慢です。また、子どもたちが「穏やかで柔らかに育つ」ことも特徴的です。学校全体がアットホームな雰囲気で、子どもたちはお互いにファーストネームで呼びあったり、休み時間には学年の垣根を越えて一緒に遊んだりしています。
 都会では珍しく、運動場が広く、みんなが伸び伸びと体を動かせるのも良い点ですね。運動場の使用時間の制限や、ドッジボールすらできない学校もある中で、非常に恵まれた環境です。本校では何の制限もなく、サッカー、ドッジボール、バスケットボールなどを楽しんでいます。

都会では珍しい広々とした運動場

―少人数ですが、最近は児童数が増加傾向ですね

 私が着任した7年前の児童数は170人でした。そこから約1・3倍に増えたことになります。学校区は昔からお住まいの一戸建てが多い地域なのですが、ここ数年で大きなマンションがいくつか建設され、子育て世帯が増えたことが要因です。
 今までは基本的に1学年1クラスでしたが、現在は1・2・4年生が2クラスになっています。少子高齢化が課題となる中で、学齢期の子どもが増えることは、地域にとっても、学校にとっても、歓迎すべきことです。

―地域との結びつきが非常に強いと聞きました

 昔ながらの「地域で子どもを育てていこう」という風土が残っている街ですね。淀川河川レンジャーによる自然体験学習や老人会によるグラウンドゴルフ体験など地域の方々が教育活動に積極的に関わっていただいています。
 中でも特に力を入れているのが幼稚園・保育園との連携です。6年生は、近隣の園に伺って、園児に遊びを教える「保育士体験」を行っています。また、逆に園児を本校にお招きし、3年生と一緒にさまざまな活動を行う「スマイル交流会」も開催しています。幼稚園・保育園から小学校への入学を円滑に進める上でも「幼・保・小の連携」は重要だと考えています。

園児に遊びを教える「保育士体験」

―学力向上の取り組みについて教えてください

 何よりも基礎基本を徹底した教育活動を行っています。学校全体で毎日5分間の計算タイムを取り入れ、習慣化することで計算力が向上しています。計算が得意になると、学習意欲が高まり、どのような問題でも自信を持って取り組むことができます。
 また、2~6年生は漢字検定にチャレンジしています。漢字練習を自主学習として取り組む児童も多く、家庭学習の柱になっています。漢字力が向上するのはもちろん、自ら目標を設定し、達成することで自己肯定感や向上心を高めることにも役立っています。

―ICTの活用についてはいかがですか

 「GIGAスクール構想」により、今は児童1人に1台、学習用のタブレット端末が配備されています。それに加えて、電子黒板やプログラミング用のロボットなど充実したICT機器がそろっています。これはあまり大きな声では言えないのですが、ICT機器の整備予算も無限ではないので、単学級の学校と4~5学級ある学校では児童一人当たりの配分が変わってきます。これも小規模校ならではのメリットと言えますね。
 しかし、ICT機器を導入することが決してゴールではありません。主体的・対話的で深い学びの実現を目指す上で、子どもたちとのコミュニケーションを円滑にし、楽しく分かりやすい授業を行うためのツールとして活用しています。

プログラミング用のロボットを使った授業

―先生方もベテランが多く、安心できると聞きました

 仰る通りです。本校の教員は平均年齢が40歳を越えていて、これは大阪市内の小学校でもトップクラスです(笑)。最近は、小学生の不登校が社会問題となっていますが、私はまだ学校生活に慣れていない低学年ほど、経験豊富で引き出しが多い教員が手厚く見るべきだと考えています。本校には優秀で、酸いも甘いも知り尽くした先生方がそろっているので、私としては本当に助かっています。