年齢や個人により「動作」の課題はさまざま。こども時代に定着した姿勢が原因で成長してから背骨が湾曲する側湾や足指の外反母趾、加齢とともに悩ましい膝や腰の痛みになることも・・・。
今回紹介するのは運動機能の専門家、理学療法士の岸本勉さんが豊中市で開設した「リ・ハビリス」。年齢や身体の状態に応じたトレーニングができると評判で、子どものスポーツパフォーマンスを向上させるトレーニングから、身体操作のアドバイスまで幅広く私たちの「動作」を診てくれる。無重力の状態でトレーニングできるリハビリ機器「スペースワンダー」を体験した。
スペースワンダーは医療機関を除くと大阪で唯一導入しているという優れもの。ベルトを装着すると、骨盤のあたりがギュギュと締め上げられる。それだけで猫背な記者の姿勢が矯正される。自重がかからない宙づり状態になり不思議な感覚におちいる。そこで、指示に従い一歩足を出す。これがなかなか・・・。普段意識することのない動作だが、この状態なら足を踏み出すだけでも、意識に上がる。歩く動作をした時に膝やふくらはぎへの負担を感じないのもおもしろい。
「姿勢を正した状態で歩く練習をして、適切な神経伝達を繰り返すことで脳が望ましい身体の使い方を記憶していくんです」と解説してくれた岸本さん。
なるほど!ケガの後のリハビリを病院や施設で行う場合、自宅でどんな姿勢で過ごしているのか、日常動作のクセは?といった部分までは考慮されていないかも。トレーニングを通じて日常動作の習慣を少しずつ変えていくということか!施設でがんばってリハビリに励んでも、痛い部分を庇ってしまったりすると、身体全体のバランスがかえって悪くなることもあるかもしれない。
「ご高齢で膝の痛みがある方の場合、歩くと膝に負担がかかるので、歩行動作も億劫になってくる傾向があります。自重と重力が膝にかかるから当然ですよね。整体のような矯正をするのではなく、ストレッチや動作訓練を繰り返していくことで歩くことの負担感をすこしずつ減らしていくことができます」と岸本さんは力説する。
理学療法士は本来、整形外科などの病院に勤務し、医師の指示のもとにリハビリプログラムを組み立てる国家資格の専門家だ。整骨院を経営する柔道整復師のように健康保険の扱いを委任されていないため、独立開業する人は少ないのが現状。なぜ独立したのか?
「例えば脳梗塞になって、麻痺が残ってしまった人であっても医療保険ではリハビリの期間が180日しかないんです。専門家の立場でできる限り身体機能を元に戻すことを考えた場合、もう少し期間に余裕が欲しいんです。だから医療保険の枠を超え、納得できるまでリハビリや運動ができる空間を作りたかった」と岸本さん。
同所ではAIを活用した姿勢、動作分析のプログラムも用いて子ども向けの動作指導から野球やゴルフなどスポーツ競技に応じたスポーツリハビリやパフォーマンス向上トレーニングのほか、医療機関との連携したシニア向けのQOL維持、向上を目的とした運動療法教室と1回500円の筋トレ教室や訪問リハビリも実施している。
■リハビリ専門施設 リ・ハビリス
住所/豊中市浜1-25-32-103
電話/06-6151-3734