高齢者施設への入居を拒む母を娘が説得
「〝住み慣れた自宅を離れるなんて絶対に嫌!〟と意地を張っていました。でも今は安心面が全く違うし、お友達もできた。引っ越してきて本当に良かったですよ」と微笑むKさん(91)。今年1月にシニア向け分譲マンション「サンミット大日」の1部屋を購入し、3月から新生活をスタートさせている。その決断の裏側に迫った。
転倒して大けが
60歳でバドミントンを始め、75歳まで「バリバリ仕事をしていた」Kさん。夫が他界し、長年1人暮らしで身の回りのことは全てこなしてきたが、ここ数年で徐々に身体機能が低下。昨年11月には自宅近くの歩き慣れた歩道で転倒し、大けがを負った。
「手首を捻挫し、歯が折れているのに〝大丈夫!〟と強がって病院に行かずに帰ってきたんです。たまたま来られたヘルパーの方に気づいてもらえたから良かったものの、あのまま放置されていたらと思うと今でもぞっとします」と話すのは、娘のRさん(56)。Rさんはアメリカで家族と暮らしており、帰国できる日数も限られている。また、Rさんの友人の母にも不幸が襲った。週1回、独居の母の見守りに行っていたが、当日の夜に亡くなり、発見されたのは1週間後だったという。
「〝絶対にこのお正月中に、安心して暮らせるところを見つけるからね〟と半ば強制的に新たな住まい探しをスタートしました」と振り返る。
娘の「戦略」
母を説得するにあたり、娘は戦略を練った。「母の性格を考え、最初に嫌がるものを出して、最後に良いものを提案しました」。Kさんは施設のルールに縛られ、自分の思い通りにできないことを何よりも嫌う。そして、利用権という形で資産にならない施設もNGだった。
そして、いよいよ娘によるサンミット大日の「プレゼン」が始まった。「分譲だから資産になるよ。施設とは違う〝自分の家〟だから自由に外出できるよ。レストランと大浴場(人工温泉)があるから家事の負担が減るよ。飽きてきたら向かいのイオンで食材を買って作ってもいいよ。ペットも飼えるから今まで通り一緒に生活できるよ。自由に過ごしながらも、24時間365日、スタッフさんが見守ってくれるから安心できるよ」―。
本人も子どもも安心
Kさんが購入した部屋は38㎡の1Kタイプ。長年暮らした分譲マンションの一室と比べると、半分くらいの広さだが何一つ不自由はないという。「ここは同世代の人ばっかりでまるで学生生活に戻ったかのよう。この前も近くの公園でお花見をして、楽しかったですよ」と満足げ。
そして、何より胸をなでおろしているのは娘のRさんだ。「見守り・生活サポートがあるので、離れていても安心できます。と同時に、もっと元気なうちに決断をしていれば、この恵まれた環境を生かして母も悠々自適に、色んなことにチャレンジできたのではという後悔があります。同年代の親を持つ人たちには、先延ばしにせず、早めに準備することをお勧めします」と話してくれた。
■シニア向け分譲マンション「サンミット大日」/守口市大日東町4-32/電話(0120)340159