「リハビリ中だが、頭も声も元気」 北島三郎の近況を女婿・北山たけしが語る

独立後1年がたち、活動も軌道に乗った北山たけし

 今春50歳を迎えデビュー20周年ライブを開催した演歌歌手北山たけしが新曲「夏の終わりが来る前に」を持って精力的に関西キャンペーンをこなしている。

 昨春、長年住み慣れた北島音楽事務所から独立、この作品が個人事務所で初の新曲。恩師・北島三郎を通じ懇意になったTUBEメンバーとゴルフに出かけた際、待ち時間に偶然聴かせてもらった曲が彼らの持ち歌の中でまだ日の目を見ていなかったこの作品だった。

 作詞はボーカル前田亘輝で〝長い信頼関係で結ばれた男同士の友情の歌〟に仕上がっていたが、北山には恩師・北島の顔がほうふつと浮かんだ。作曲はギタリスト春畑道哉で前田の力強く高いボーカルを生かした楽曲。低音から入って中盤からは高音部が続き、かなり豊かな声量が要求される。北山は「実は高音部がキツいので1音下げていただきました」と笑顔で白状したが、その分だけ出だしはきれいな低音で入って行かなければならず、昨今のカラオケブームの中で〝歌いやすい歌全盛時代〟とは一線を画し、北山の歌唱力が一層際立つ仕上がりに。

 カップリングは北山自身が作詞作曲した曲を初めてCD化した「あなたへ」。2年前に75歳で逝った父の生前にプレゼントした一番だけのオリジナル曲を二、三番を追加作詞し、切々と歌い上げる〝父への鎮魂歌〟として仕上った。

「北島は足以外、全部元気」と語る北山たけし

 「コロナで苦しかった昨春までの時期を師匠(北島)の下で守って頂き、コロナ禍が明ける絶好の時期に僕たち事務所に残った弟子全員が巣立つことができた。師匠はまだ足の調子がまだ思わしくないので車椅子生活ですが、他にどこも悪い所はありません。今秋にはステージに立てることを目標に、日々リハビリに精を出しておられます。頭も声も元気です」と明かした。北島とは義父と女婿の関係にあるが、北山にとってはとても「おとうさん」とは呼べず、いつまでも師匠そのものだ。

 首都圏と出身地九州の仕事が多く、5月から東北6か所を回っている。「この1年間はこれまでお世話になっていた方々に〝独立しました〟とご挨拶し、マネジャーと自分だけで出演の交渉や打ち合わせをする。分かっているつもりでも実際やってみると何事も新鮮で楽しかったけど大変です。正直この1年間、これまでとは異なる新しい事にチャレンジするゆとりは全くなかったですね」と正直。

 コロナ明けのファンとの触れ合いで力をもらっている。「関西でレコード店回りをしていると、自然にファンの方と握手したりお話ししたり。コロナで一切禁じられていた事が自由にできるようになり、互いの目を見ながら語り合う瞬間が新鮮」と今日も店頭キャンペーンに余念がない。

 (畑山博史)