闇バイト啓発授業
近年、「闇バイト」と呼ばれる特殊詐欺の若者検挙数が増加し、一種の社会問題となっている。このような状況下、安全なバイトを探してもらおうと、「闇バイト啓発授業」(ディップ主催)が4月17日、府立東住吉総合高校(平野区)で開かれた。2023年の大阪府・特殊詐欺件数(闇バイト含む)は、22年から30%増加し、過去最も多い特殊詐欺件数を記録している。授業では、講義のほかに闇バイトと考えられる内容を当てるクイズやバイト探しのワークショップを行い、高校生らは働くことや闇バイトなどSNS上でのトラブルに巻き込まれないための危機管理能力を高めた。
〝UD(受け子・出し子の略)〟など闇バイトのワードに警鐘
情報リテラシーを上げ、闇バイトの関与を事前に防止
府立東住吉総合高校で4月17日に開かれた「闇バイト啓発授業」は「バイトル」などの求人情報サービスを提供するディップが主催。大阪府は都道府県別の高校生人口あたりのバイトル経由での応募件数(2023年4月)は全国1位で最も多い地域だ。ゴールデンウィークから夏休みにかけて、高校生のアルバイト探し活動が活発化する時期を前に、「働くことや闇バイト等SNS上でのトラブルに巻き込まれないための知識を理解してもらいたい」と実施し、同校 2 年生 240 人が啓発授業を受けた。
SNS 上の闇バイト情報、見分けられる?
授業では、 講師の堤花野さん(同社マーケティング統括部)が、「高校生が自由に就業機会を選択できることは自分らしく社会で活躍することにもつながるため、『働くこと』を理解し、今後の将来選択の中で役立つ情報の一つと考えています。授業を通じて、生徒たちのより良い就業機会選択に貢献できれば幸いです」と高校生の働く意義を話した。引き続いて、同社が作成した SNS 上のダミー文章から、闇バイトと考えられる内容を当てるクイズや、バイトルアプリを利用した求人検索のワークショップを行い、堤さんは、闇バイトに関与しないためには「闇バイトの見分け方」「正しいアルバイト求人の探し方」「高校生が働くときの法律やルール」「相談先」の4点が大切と指摘し、「みなさん、一人一人が、情報リテラシーを上げ、闇バイトの関与を事前に防ぎましょう」と呼びかけた。
クイズでは、生徒からは「〝応募方法がDM〟と書いてあるのが怪しいと思った」や「授業で習った〝UD(受け子・出し子の略)〟が入っていたため、闇バイトだと思った」などと、啓発授業での学びを生かした声が飛び出した。
危機管理能力や判断力を高める
授業を受けた同校2年、足立瑛美さんは「最近アルバイトを始めたのですが、求人を探すときに SNS で『時給が高い』や『シフトに入りやすい』など、自分の求めている条件しか見ていなかった。今回の授業で、闇バイトで使われるワードを知ることができて良かった」、また、学年主任の教師・濵田豊さんは「最近、『闇バイト』という言葉を聞く機会が増え、生徒には少しでも危険性のある情報に対して、危機管理能力を高めてもらいたいと思ったため授業の実施に至りました。今後も生徒には危機管理能力や判断力など、考える力を身に着ける重要性を再確認しながら、クラスごとのホームルームなどでも伝えていきたいと思います」と話している。