一時期、「投資」の名が付いたマルチ商法、ネットワークビジネスが出回っていたので、「投資」と聞いて胡散臭がる人は多い。今も昔も多くの日本人は、お金は「消費する」か自らの時間を費やして「稼ぐ」くらいしか知らない人が多いため、2000年代初めにヒットした書籍『金持ち父さん貧乏父さん』の「お金に稼いでもらう」という概念が悪用されたのではと感じる。
「お金に稼いでもらう」という発想は証券投資で活用したい。大家さんでもなくても株を買えば利息(配当)をもらう立場(投資家)に誰でもなれる。お金に稼いでもらう意味では、銀行預金もいちおう当てはまるが、今の超低金利では普通預金に100万円預けていても、利息は1年でたったの10円にしかならない。
仮に60歳の定年退職時に金融資産2000万円を目指した場合、預貯金なら20歳から40年間で、毎月4万1666円の積立が必要になる。
株式ならどうだろう。米国の代表的なインデックス投資(年利5%の場合)で考えると、同じ期間なら毎月1万3000円。30歳からなら2万3900円。40歳からは4万8400円となる。
「証券投資」は、今や銀行や証券会社の窓口に行かなくても、インターネットで簡単に売買できるようになったから、投資に取り組む人が増えてきた。実際に私が愛用する楽天証券の口座で言えば、この1年で口座が200万増え、700万口座になったそうだ。
実際に株式投資を始めるといろいろな株価の値動き(市場の指標)や、有名インフルエンサー、プロの証券マンの記事などをチェックする機会が増え経済感覚が磨かれる。
例えば、資産を株だけではなく、債券や金(ゴールド)に移したという投稿を見かけることがある。理由を見ると「現金の価値が下がると見越して」と書いてあった。このとき改めてお金の価値は変動しているんだと実感できる。
現在は原油高騰によりエネルギー関連がガンガン上がっている。また、米国では近々、FRB(米国の中央銀行、連邦準備制度理事会)がコロナで対応していた金融緩和を縮小していく方針を示し、為替では円安ドル高が進んでいる。円安ということは、ドルで取り引きしている原材料などを輸入する際の値上がりにもつながってしまう。悲しいかな給料が増える見込みがない中で、物価だけが上がる厳しい現状になりつつあるのだ。
今後は、一生懸命働いて預貯金をしつつも、株や債券、金(ゴールド)など〝分散投資〟で「お金に働いてもらう」という選択があってもいいのではないだろうか。