味が強く、肉肉しい「そぼろお重」 ホルモン酒場 鬼に金棒・梅田茶屋町店

〝お重〟の「肉まぶし」を進化させた「国産牛そぼろお重~トリュフ卵黄~」
〝お重〟の「肉まぶし」を進化させた「国産牛そぼろお重~トリュフ卵黄~」

 今年5月のランチ提供スタートと同時に、低温調理した和牛肉を敷き詰めた〝お重〟の「肉まぶし」をメニューに採用した。ビジュアルと薬味や出汁をかけて「ひつまぶし」のように〝味変〟も楽しめるとあって、これが20代を中心とした若い女性の間で話題となり、SNSなどで拡散されるヒットとなった。そこで第2弾として9月にデビューさせたのが「国産牛そぼろお重~トリュフ卵黄~」だ。

 肉を扱って12年の料理長中野良人さんが厳選した国産牛の「中落ちカルビ」をそぼろ状にした。焼肉では人気が高い部位のカルビ。程よい弾力があって、旨味が濃いのが特徴だが、中でも〝中落ち〟は肋骨の狭い間にある細長い部位で一頭から500㌘ほどと、わずかな量しか得られないため、品切れがちな希少なもので「味が強く、肉肉しい」とは中野さん。

ランチ限定だが、〝お重〟2種を合わせ月に2000食と出足は好調だ
ランチ限定だが、〝お重〟2種を合わせ月に2000食と出足は好調だ

 「5つ星お米マイスター」と作り上げた「ご飯」に、濃厚なタマゴ、贅沢なトリュフ、自家製柚子胡椒ソースと、すべて肉との食べ合わせとバランスを絶妙に考えられている。

 しかも「食べておいしいだけではない」のが、この〝お重〟の強み。鮮やかな色合いによるビジュアル面に加え、重箱を開けた時に広がるトリュフの香りに、誰もが「オー」という表情を浮かべ、次いでスマホでの撮影となるのが一様な反応という。ランチ限定だが、〝お重〟2種を合わせて月に2000食と出足好調だ。蛇足だが、トリュフの香りは雄ブタの性フェロモンに似ていて、雌を引きつけるそうだ。1800円とランチにしてはちょっぴり高いが、〝ママ友〟らがリッチな気分を満たすために今日も訪れている。

トッピング

 重箱は主に正月のおせち料理や〝鰻重〟の容器に使われるが、元は武家が「狩り」や「花見」など弁当箱として用いた。なかには豪華な漆塗りや蒔絵を施した「美術品」もある。
 外食の世界では、ウナギなどの高級食材を〝和〟の雰囲気で供する際に使われることが多いが、昭和の時代を過ごした者には、家族総出で繰り出した運動会や動物園、花見といった行楽のシーンが思い出される。そこには必ず「重箱」という〝大きな弁当箱〟が登場した。
 三重や四重に積み重ねられた箱のふたを開け、ぎっしり詰まるおにぎりや色とりどりのおかずが腹をすかせた老若男女を誘惑した。口に馴染みの品ばかりだったが、なぜか特別の味がした。重箱は日本の〝ハレの道具〟である。

【メモ】
ホルモン酒場鬼に金棒・梅田茶屋町店
tel.06(6131)9910。大阪市北区茶屋町14-12。[営]11時半~14時半、17時~23時半(不定休)/運営は「いちまさグループ」(市來拓郎社長)