高額な着物を強引に販売していた呉服店のニュースが記憶に新しい。その店に限らず、呉服店と言えば、高額な着物を勧められるというイメージを持つ人も多くいるに違いない。そんな呉服業界に新しい風を巻き起こしているのが天神橋筋商店街にある「きものイング」だ。他店に比べて圧倒的に安い、その秘密を取材した。（仲野恵子）
良いものを適正価格で
「着物の売り方を見直したいと思ったんです」代表の土井司さん（44歳）はこう話す。
土井さんは呉服屋のサラリーマンから独立し、「きものイング」を立ち上げた。当初は難波で店舗を構えていたが、2020年9月に天神橋筋商店街に移転、現店舗をオープンさせた。
着物の値段には不透明な部分が多い。「今買うなら」と元々の値段から、大幅に割引をされることが往々にしてある。つまりは、割引後の値段でも、十分に利益が出ているということだ。中には原価の20倍もの値段をつける店もあるという。
同店では、独自の流通ルートを持っていることで、仕入れ値も抑えている。理想は、良いものを適正な価格で、納得して買ってもらうことだ。
着物を気軽に
同店ではローンで買う人がほとんどいない。それは、ローンを組まなくても購入できる価格帯のものもあり、無理な販売はしていないということだ。予算に合わせてリサイクル着物を選ぶこともできる。その信頼できる販売方法に、九州や中国地方など、遠方から足を運ぶ人もいるほどだ。
「やっぱり僕は着物が好きなので、もっと気軽に着てほしいと思っています。着物を買うなら是非一度見に来てください」と土井さん。また、来店客には海外の人も多く、日本の文化、伝統産業である着物をもっと広めていきたいという。
■きものイング／大阪市北区天神橋6-5-11／電話06（7708）2942／水曜定休http://www.kimonoing.net/