【特別対談】東洋生興 専務取締役・前川正敏×タレント・本紙守口支局編集長 U.K.
守口市を拠点に、従来の不動産業の枠にとらわれない独創的な取り組みで注目を集める「東洋生興」。同社の前川正敏専務と、週刊大阪日日新聞社守口支局の編集長を務めるタレントのU.K.は、実は35年来の付き合いがある「義理の兄弟」。イギリスでの留学時代から現在に至るまで、二人が歩んできた道のりと、同社が掲げる「地域・社会課題の解決」を軸とした独自の街づくりについて語り合った。


イギリスの寮生活から始まった「一生の縁」
U.K.:改めて対談するのは照れくさいですが、まささん(前川)と最初に出会ったのは30年以上前、イギリスの全寮制学校でしたね。
前川:私が高1、雄二朗(U.K.)が中3の時に寮で同室になって。当時はお互い異国の地で、1年間隣同士のベッドで寝食を共にしたのが原点です。
U.K.:その後、まささんの妹と結婚したことで、本当の兄弟になりました。まささんはアメリカ・フランスの大学を経て、帰国後、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に就職し、20年前に家業の東洋生興に入社しましたが、CCCでの経験が今の仕事に大きく影響しているとか。
前川:CCCは増田宗昭会長いわく「企画会社」なんです。そこでマーケティングや事業企画の本質を叩き込まれました。「不動産」というネタを、単に売買するだけでなく、社内外の力を束ねて課題解決の企画に落とし込み、付加価値を社会に提供する。そこが私の仕事だと思っています。

「地域の問題解決」を不動産で形にする
U.K.:東洋生興のプロジェクトは、いわゆる「不動産屋」のイメージを覆すものばかりです。特に京都市の「百万遍の交差点」のプロジェクトは象徴的ですね。
前川:あの場所は夜になると暗く、不安を感じる人も多かった。そこで地域の需要を分析し、24時間営業の店舗を誘致して夜間でも交差点を明るく照らす設計にしました。結果として防犯や地域の活性化に寄与できたと思っています。
U.K.:待機児童問題の解決のために保育園建設に奔走されていました。
前川:東京、博多で待機児童を抱える自治体、そして保育園を運営する福祉法人と協業し、未来を担う子どもたちの「居場所」を形にできました。これもまた、苦境にあった優秀な設計士を信じて支え続けたご縁が、仕事として結実したものです。


地方創生と「ソーラーシェアリング」への挑戦
U.K.:活動は中国・四国・関東など、地方へも広がっていますね。
前川:徳島県では、耕作放棄地に太陽光発電所を開発、太陽光パネルの下で「よもぎ」を栽培する「ソーラーシェアリング」を展開しています。これは環境保護だけでなく、加工工程で障がいがある方の雇用も生み出しています。また、空き家や別荘をリノベーションして観光客を呼び込む地方創生事業にも着手しています。
U.K.:一見バラバラに見えて、すべては「地域が抱える問題を不動産でどう解決するか」という一点に集約されているわけですね。
前川:父が50年かけて築いた「信用」という土台の上に、外部の専門家とチームを組み、課題解決のための「レール」を敷くのが私の役割です。
「打率」は低くても、バットを振り続ける
U.K.:まささんの仕事は、地主さんからの指名が多いと聞きました。
前川:最近マンションを建てた土地も、地主さんのお子さんが市役所にお勤めで、私の普段の対応を見て「東洋生興なら大丈夫」と指名してくれたんです。別の場所では、高い金額を提示した他社がいたにもかかわらず、その土地への思いや熱意を全部書いて「ラブレター」で伝えたんです。最終的に「この人に売る」と言っていただけました。
U.K.:そうした成功例が次々と生まれる秘訣は?
前川:実は、成功事例は氷山の一角にすぎません。1,000件動いても、形になるのはわずか3件ほど。だからこそ、誰も打たないほどの数を打ち続け、ボツになった案件からも学びを得る。その積み重ねが、次の成功へとつながっていくのです。そして一度良い仕事をすれば、その人がまた良い人を連れてきて、ウィンウィンの関係がどんどん拡がっていくんです。目先のうまい話に食いつかず、人として正しい道を選ぶことが最終的な強みになります。お金も大事ですが、やはり最後は「信用」です。

次世代へつなぐ「信用」と「教養」
U.K.:まささんが経営や教育において、最も大切にされていることは何ですか?
前川:結局は「信用」に尽きます。約束を守り、期待に応える実績を出すこと。高校生で起業した長男にも、そこだけは厳しく伝えています。
U.K.:柔軟な発想の源はどこにあるんでしょう。
前川:留学経験で得た「相手を別の考えを持つ存在として認める」姿勢と、毎朝1時間の日経新聞、月に3冊ほどの読書です。最近はビジネス書より、人の人生を学べるフィクション(小説)を読んでいます。本を読むことで視点を増やす「教養」が大切だと思っています。そして「人を大切にする経営学会」の坂本光司会長には、セミナーを通じて、人の縁と会社経営に対して多くのこと学びました。
U.K.:最後に、これからの展望を聞かせてください。
前川:守口の街にはまだ発展の余地があります。地域の需要に合うものを丁寧に開発し、街の発展のお手伝いを続けていきたい。そして、次世代に対しても、信用を大切にする背中を見せていきたいですね。
<プロフィル>
前川正敏(まえかわ・まさとし)/カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て家業の東洋生興に入社。専務取締役として「不動産企画」を通じた地域課題の解決に挑む。
U.K./楠 雄二朗(くすのき・ゆうじろう)/ ラジオDJ・タレント。週刊大阪日日新聞・守口支局の編集長も務める。前川専務とは義理の兄弟。
