【対談シリーズ】フリーアナウンサーと学習塾代表の滑らない話

フリーアナウンサー 生島ヒロシ × 個別指導キャンパス代表取締役 福盛訓之

 〝笑う門には福来る〟新教育総合研究会「個別指導キャンパス」の福盛訓之代表が、各界の人たちと語り合う対談シリーズの10人目は、ラジオパーソナリティをはじめファイナンシャルプランナーや大学客員教授など多彩な顔を持つ生島ヒロシさん。

存在価値を高め、必要とされるためにも、資格は直結している(生島氏)
ファーストペンギンの精神は、学習にも通じる(福盛氏)

フリーアナウンサー 生島ヒロシさん
いくしま・ひろし
 1950年、宮城県出身。1975年にカリフォルニア州立大学ロングビーチ校ジャーナリズム科を卒業。1976年TBSに入社し、1989年に独立。みやぎ絆大使、みなと気仙沼大使、おじゃんせ霧島大使(鹿児島県霧島市)、高齢者交通事故防止アドバイザー、東北福祉大学客員教授。

福盛 生島さんはキャスターやアナウンサー、ラジオパーソナリティとして多彩に活躍しながら、さまざまな資格もお持ちです。行動力の根源はどこにありますか。

生島 二十歳の時、カリフォルニア州立大学へ留学した時の生活体験が基盤にあります。アメリカは保証がない国です。企業に就職していても実績を出さないと、トランプさんではないですが「You’re Fired! (君はクビだ!)」ということが本当に起きる。
 当時は1970年代でしたが、子どもを背負って新たなスキルや知識の習得を目的に勉強している人たちが当たり前のようにいた。つまり、自助努力をしないと生活を守れない。社会人になってからも勉強している人たちを目の当たりにしていたのです。

福盛 資格は、ファイナンシャルプランナーをはじめ防災士、eco検定、福祉住環境コーディネーターなど多岐に渡ります。興味を持たれたきっかけは。

生島 独立後にスタートしたラジオ番組です。ラジオは特に原稿があるわけではないので、自分というソフトの中に、多彩な引き出しがなければいけません。
 そんな折、マネージャーに資格取得を勧められました。出演していた番組で、経営者や経済の話をしていたこともあり、ファイナンシャルプランナーに挑戦したのです。また、先行きが不安なこともありました。自分の生活があり、社員も守らないといけない。こうした気持ちも動機のひとつです。
 実際、資格に合格したら様相が一変!講演の仕事がどんどん来るようになったのです。自分の存在価値を高め、人から必要とされるためにも、資格は直結していると知りました。

個別指導キャンパス代表取締役 福盛訓之さん
ふくもり・としゆき 
 1973年、大阪市出身。大学在学中の19歳で起業。96年に新教育総合研究会「個別指導キャンパス」(大阪市北区)を設立。個別指導塾を全国約350教室で展開している。第21回稲盛経営者賞第1位、第1回大阪府男女いきいき事業者表彰優秀賞、紺綬褒章など受賞多数。

福盛 企業の代表として、人材育成についてはどのような考え方を。

生島 日本は学校のレベルで人を判断しがちですが、社会人として適応できるかは、また別の話。当たり前と思われることが崩れる時代です。能力やキャパシティを開花させ、世の中を見渡し、幅広い人と付き合い、困難を乗り越えていく力を伸ばしていかなければならない。
 そのためには大学の学問だけで終わってはダメ。自助努力、自主判断、自己責任、自己防衛を大切な4箇条として伝えています。常に学ぶ姿勢で、「自分であればどうするのか」という視点を育てて欲しいですね。もうひとつ、「ならイズム」と呼んでいますが「この人のため〝なら〟」と、思ってくれる人を作ることも重要です。

福盛 SNSやAIで人付き合いの仕方が変わってきています。トークのプロとして、コミュニケーション力の育て方とは。

生島 初対面で自分のファンになってくれるかどうかです。自然体でありながら、これから深いお付き合いをしたいという想いをアピールしつつ、相手に興味を持てるかどうか。また、面白いと思われれば、次も会いたいと感じてもらえます。そして面白くあるためには、常にネタがないといけません。
 つまり世の中の出来事に対して、独自の一考察があるかどうか。こうした心構えがコミュニケーション能力を高めることに繋がる。面白くてタメになる話をしていけば、みんな飽きません。関西人はボケとツッコミができているから強いですね(笑)。

福盛 講演会では教育もテーマにしています。教育に携わる者として興味があります。

生島 自分の体験がベースです。大学受験の失敗談から始まって、グローバル時代に受験一辺倒の日本のスタイルは社会に出てから通用するのかについて話しています。これからは正解の見えない問題が出て来る。解のない世界に生きる中で、どのような発想力や突破力、人間力が必要なのかがテーマですね。
 アメリカでの生活をはじめ、サラリーマンとして学んだこと、フリーになって分かったこと。また、政界や財界、知識人など多くの人に出会って得た知見にも触れています。教育学ではなく、教育論でもなく、実体験の言葉だからこそ表れる真意を伝えたいですね。

生島ヒロシさん×福盛訓之さん

福盛 未来を生きる子どもたちに、アドバイスをお願いします。

生島 第二電電を作った千本倖生さんの言葉を借りると、「ファーストペンギンになれ」と言いたい。崖にいるペンギンの群れを想像してください。最初に飛び込めば、いち早く魚が取れるかもしれない。一方で下にサメがいるかもしれないと恐れて、なかなか飛び込みません。それでもファーストペンギンが飛び込むと、みんなが続いていく。空気を読みながら、横並びでいいと考えていたら、全員茹でガエルになってしまう。失敗しても経験は必ず身になります。最初に飛び込んで欲しいですね。

福盛 ファーストペンギンの精神は、学習にも通じるものがありますね。本日は、大変勉強になりました。