大阪府の高校授業料〝完全無償化〟 新制度案に賛同しない 大阪私立中学高等学校連合会

 大阪府が2023年度から段階的な実施を目指す高校授業料の完全無償化案に、大阪私立中学高校連合会は5月29日の総会で、府内96の私立高全てが「完全無償化の理念には賛成するが、提示されている新制度案には賛同しない」とする意見を採択した。完全無償化は府外の高校に通う生徒も対象で、実現すれば全国初。なぜ、私立高は反対しているのか。

年収別の保護者負担額

理念には賛成だが…

 高校授業料の完全無償化を掲げ、府知事選を圧勝した吉村知事。現在、私立高は「年収590万円未満の世帯」などが無償化されているが、今回は所得制限の撤廃に踏み込んだ。

 開始時期については「来年度の高3生からスタートし、26年度には全学年」という素案を発表。府外の高校に通う生徒も対象だ。

 現行では年収800万円未満の世帯の生徒に年60万円を上限に補助。上限を超えた分は学校が負担する「キャップ制」を適用しており、新たな制度も同様となる。

 大阪私立中高連が新制度案に賛同しないのは「新制度になれば年2億円ほど支出が増える高校もあり、経営破綻や教育の質の低下を招く」のが理由だ。

 府は現行の制度でも、全生徒に一律にかかる費用は無償化の対象だが、入学金や一部の生徒への特色ある教育等の費用は無償化対象ではないとしている。この姿勢に対し、私立高の校長は「新制度で入学金を増やし、財源を確保する高校が増えれば、所得が少なく無償化対象だった生徒たちの負担が大きくなる」と危惧している。

〝乗れない〟なら おりてもいい

 府は「新制度に乗れない学校は補助金を受け取らなければいい」との立場だ。そうなると、新制度に加入しない学校が出てきた時、生徒の選択肢が今より狭まる懸念がある。無償化の影響で私学への進学者は確かに増えた。それに伴い校舎の増築や建て替え、教員も必要になる。しかし、府からの補助金は全国で46番目と低い。こうした状況の中で「上限を超える授業料は全て学校負担となると、経営・教育環境が悪化する」(私立高校長)と話す。

「丁寧に説明していく」吉村知事

 新制度案に賛同できないとする私立高側の考えについて、吉村知事は「必ず論点になることは認識していたが、ここを乗り越えなければ無償化にはならない。理解を得られるよう丁寧に説明していく」とし、知事自身が私立高の関係者と面会する考えも示した。

 府は今後、私立高側と協議を続け、今年8月までに詳細をまとめる方針だ。