日頃はアニメなどで活躍する声優が得意とする分野を、動きやギャグで見せる吉本新喜劇座員がコラボして演じ新たな化学反応を起こしつつある朗読劇「ボイコメ」。大阪を発祥とし東京を含め約2年間でこのほど6回目の公演を終了。今年最後の公演では初回から脚本担当の川畑泰史・吉本新喜劇元座長と、新たにアニメに通じた演出家の片岡百萬両(片岡自動車工業)が初タッグ。川畑は「最初は〝声優の方のファンしかこないのでは?〟と心配していたが、お互いの世界が刺激を受けて良い感じで発展してきた。来年からは年4回程度に回数も増やしたい」と意欲を示した。

ボイコメでは全員が台本を手に舞台に登場しやりとりする朗読劇の形を取っている。しかし普段は見られない声優のセリフ入リ生演技や、吉本芸人とのアドリブ風掛け合いが次第に人気を集め、12月公演では衣装やセット、エキストラや映像まで駆使してより立体的な構成に進化。自他共に認めるアニメ・オタクの新喜劇座員、岡田直子は初回から出突っ張りで参加。今回は新たに声優側から蓬田梨香子、直田姫奈と川本成、森久保祥太郎が参加。新喜劇からは人気の千葉公平が出演し連日トークショーを展開。4公演を通じて出演した川畑・元座長と「BLEACH」平子真子役の声優・小野坂昌也が組んだYouTube収録の生公開を最終日に実施とファンにはたまらない内容となった。

今回の公演はロールプレイングゲーム(RPG)風の内容で、トークでは互いに本音が交錯。「皆さん(アドリブで)すごく脱線してしまうので、そっちに気を取られてセリフを忘れてしまって…」(直田)と苦笑すれば、千葉は「声優の方の滑舌と声質の良さはすごい。僕らの声はいったい何だったんだろ?」と驚いた様子。

ボイコメの声優側リーダー格・小野坂は「来年からはもっとPOPな感じでSF的にしていきたい」、川畑は「年4回になればさらに定着する。次は声優ファンに新喜劇も見てほしい。互いに進化しています」と自信。やり取りを聞いていた岡田が「私にとっては毎日が夢の舞台。毎回、新喜劇より緊張しています」と白状し、川畑が思わず苦笑する一幕も。

(畑山 博史)
