みらいリーナルパートナーズ
笑う門には福来る――多くの人になじみ深いことわざだが、これをビジネスで実践する企業がある。関西みらい銀行、みなと銀行を株主とする、りそなグループの「みらいリーナルパートナーズ」だ。同社は2022年3月に設立し、同年6月に関西発のクラウドファンディングサイト「Warakado広場(わらかどひろば)」(以下、わらかど)を立ち上げた。地域に眠る〝すごい〟を発掘し、主に関西の人へ届けることを使命とする。ロゴも挑戦者と支援者が笑顔でつながる様子を示したものになっている。
設立はコロナ禍の最中。消費行動が大きく揺れ動いた時代、どの企業もビジネスモデルの再構築や新サービスの開発に迫られていた。わらかどの運営を担当する遠山貴明さんは「私たちが伴走する意義は金融支援にとどまらず、経営に立ちはだかる壁を共に乗り越えること。それには新しい挑戦を試し、広げる場が必要でした」と語る。
開始当初は社内外ともクラファンに対する認知が十分ではなく、サービス理解に時間を要した。しかし、「商品をもっと広めたい」「地域に還元したい」という企業に寄り添ううちに利用は着実に拡大。3年で100件を超すプロジェクトを支援するまでに成長した。利用者からは「銀行グループだから安心」「サポートが丁寧」といった声が寄せられる。金融機関のネットワークと信頼感を生かせる点は、わらかど独自の強みだ。
取り組みの特徴は「プロモーション〝プラスα〟」だ。廃油から燃料を再生して淡路島でイチゴを栽培する食の循環型プロジェクトしかり、ウクライナ支援をリターンに設定した西宮のサーカス公演しかり、社会課題の解決にもつながる〝プラスα〟の挑戦が地域を巻き込むことに成功し、笑顔と共感を生み出している。
今後はさらに地域密着色を深め、参加企業同士がつながり、新たな挑戦を生むコミュニティへの発展も目指す。「笑顔の連鎖で関西を盛り上げたい」という遠山さんの言葉に、記者も大きくうなずいた。(西村由起子)

