イノベーションを起こす中小企業のための「新事業進出促進補助金」

[プロフィル] なにわのみやコンサルティング増田昌代 1972年生まれ。立命館大学大学院経営管理研究科修了(MBA取得)、中小企業診断士。大手IT企業の経営企画室での経験を基盤に、複数業界でのキャリアを構築。東証上場企業の広報IR責任者を経て2024年に独立。データ分析に基づくWEBマーケティング戦略立案と各種補助金活用支援を得意とし、中小企業の持続的成長をサポート。

 本補助金における新規事業とは、新製品の開発または新規顧客の開拓を指します。
 つまり、既存事業とは異なる新たな市場や高付加価値事業に進出し、中小企業が企業規模を拡大するとともに、生産性向上や賃上げの実現を目指すものです。
 申請の判断では、まず「新市場への進出」にあたるかどうか、次に「高付加価値事業」であるかどうかが審査されます。
 補助対象は中小企業者であり、申請時点で従業員が1人以上いることが応募条件です。ただし、新規設立または創業から1年未満の事業者や大企業の子会社は対象外です。
 補助金額は表のとおり下限750万円で、上限は従業員数に応じて変わります。補助率は一律2分の1です。
 補助対象事業は、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③新事業売上高要件
 例えば、ガソリン車部品を製造していた企業が半導体製造装置部品に参入する場合や、アプリ・ウェブサイト開発を行っていた企業が商社型ECサイトの運営を始める場合などが該当します。
 一方、過去16カ月以内に新事業進出補助金・事業再構築補助金・ものづくり補助金の交付候補者に採択された事業者や、現在これらの補助事業を実施中の事業者は対象外です。
 対象経費には、機械装置・システム構築費(リース料を含む)または建物費(構築物費を含む)のいずれかを必ず含める必要があります。
 なお、支払いは採択後に銀行振込で行われたもののみが認められ、クレジットカードによる支払いは対象外のため注意が必要です。
 また、申請時点で次の加点項目(パートナーシップ構築宣言、くるみん、えるぼし、アトツギ甲子園、健康経営優良法人、技術情報管理認証制度、成長加速化マッチングサービス、再生事業者、特定事業者)に該当している場合は、審査で有利になります。
 かつて昭和の時代、日本経済の構造転換を牽引したのは下町の中小企業でした。変化の激しい令和の時代においては、規模の大小を問わず柔軟な発想と迅速な対応力を持つ企業こそが生き残るといえるでしょう。

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