個人的には最も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるパビリオンだと思っているハンガリーパビリオンが累計来場者数100万人を達成した。
ユニークな外観の建物や、ハンガリーから来日したシェフが腕を振るっている本格的ハンガリー料理、豊かな文化、伝統音楽、多彩な食文化を紹介する体験プログラムなど、館内の展示以外にも多数の魅力がある。
館内は没入感のある展示空間になっていて、ガラスを重ね合わせた展示は見る角度や位置によって見えるものが変わっていく。
ドーム型の展示空間では、満天の星空を思わせる幻想的な空間の中で、毎日43回にわたりハンガリー民謡がライブ演奏されていて、その歌声には度肝を抜かれた。


万博会期184日間で、計21人の女性歌手が出演しているという。
さらに、ジャズからクラシックまで幅広いジャンルのアーティストが登場し、ハンガリー音楽の奥深さを届けたり、シャインハットではこれまでに6回の大型コンサートが開催され、いずれも満席(各回2000人規模)となった。
小規模ステージでも、開演の1時間前からすでに観客でいっぱいになるが、筆者も何度かはその観客の一人として素晴らしいハンガリー音楽を聴かせてもらった。
ハンガリーの手工芸の伝統も22週間にわたり、11の職人技が同館で紹介された。隔週で内容が変わるワークショップでは、来場者はハンガリーの手工芸の世界を覗くだけでなく、自分の手で作った作品を持ち帰ることもできた。席はたいてい朝のうちに埋まり、何度も足を運ぶリピーターも多く、非常に人気のワークショップとなっていた。
ハンガリーの食文化も大きな人気を集めている。ビストロスタイルの「Miska Kitchen & Bar」では、エグゼクティブシェフのヴィダーク・ゾルターンさんにインタビューし、ハンガリー料理を教えてもらった。
同店で提供されるメニューは万博の中でも屈指の充実度を誇り、これほど豊かで多彩、そして本格的なメニューを揃えているパビリオンはごくわずかではないだろうか。69席のレストランには毎日およそ250人の来場者が訪れ、特にグヤーシュスープやホルトバージ風肉入りクレープが好評。先日パビリオンに立ち寄った際も、まだ午前10時半だったが、午後1時からレストランへの待ちの列ができていたことには驚いた。
クリシュト・アコシュ、ハンガリー政府代表は、「この100万人という数字は、私たちにとって単なるデータではなく、大きな反響の証です。ハンガリーの文化、民族音楽、そして食文化に対する関心が世界中で高まっていることを示しています。ハンガリー・パビリオンの成功は、我が国の価値が世界に通じることを物語っています。特にうれしいのは、2024年同時期と比べ、今年第3四半期にハンガリーを訪れた日本人旅行者の数が16%増加したことです。大阪でのパビリオンの成功が、今後さらにその流れを後押ししてくれることを期待しています」と強調していた。