買い物や送迎など日々の移動手段として利用する自転車に、来年4月から違反すると反則金が科される。スマホを使いながら運転する「ながら運転」が高額の対象に。歩道走行は危険な場合を除き処罰されないが、生活に密着するだけにルールの見直しが欠かせない。

来年4月から スマホ運転1万2000円、逆走6000円
反則金対象と歩道通行の線引き
来年4月1日から、自転車の交通違反に対しても反則金制度が導入され、「青切符」による取り締まりが開始される。これまで自動車には適用されていた反則金制度が、自転車にも拡大。16歳以上が対象で、スマホを見ながらの運転は1万2000円、逆走は6000円など。通勤・通学前にルールを見直しておこう。
自動車事故は減少傾向にある一方、自転車が関わる交通事故は横ばいまたは増加傾向が見られている。反則金の主な水準は、2人乗りや2台以上の並走が3000円、ブレーキのない「ピスト自転車」での走行が5000円、歩道通行や逆走などの通行区分違反が6000円、走行中の携帯電話使用(ながら運転)が1万2000円など。
制度設計にあたり、警察庁が4月に実施した国民から意見を募集するパブリックコメントには5926件が寄せられた。最多は「歩道通行」をめぐる懸念や疑問で、「自転車で車道を走るのは危険なのに歩道通行を禁止するのはおかしい」「歩道を走っただけで反則金になるのか」といった声が多かった。
これを受け警察庁は、歩道通行に関する現行ルールと基本的な取締り方針を整理して公表した。原則は車道通行としつつ、歩道を通る場合でも歩行者に危険を与える走行などを除き、反則金の対象外とする考えを示した。
青切符は昨年、成立した改正道路交通法に基づく制度で、自動車やオートバイと同様に違反者へ反則金を通告する仕組みである。通勤・通学や買い物など日常で自転車を使う人は、施行までに通行区分や装備を見直し、安全運転の徹底が求められる。
自転車の交通違反に反則金制度が導入されることについて、大阪市北区の40代主婦は「自転車の規制強化自体には賛成だが、ついやってしまいがちな並走や一時不停止も反則金の対象になることには驚いた。いつ自分がうっかり違反してしまわないかと不安」と話す。
同市福島区の30代会社員女性は「車の通行量が多く自転車が走りにくい車道も多いため、安全に通行できるよう、自転車専用道路など整備も合わせて進めてほしい」と注文する。 同区50代主婦は「歩道でスピードを出して走っている自転車を見かけることがあり、私自身もぶつかりそうになったことがある。車が来ているにもかかわらず、後ろを見向きもせず車道を斜めに走っているのもよく見かける。危険な運転を減らすためにも取り締まりは必要だと思う」と歓迎した。
