パナソニックインフォメーションシステムズと連携
履正社高等学校(豊中市)の「データサイエンスゼミ」が8月25日、パナソニックインフォメーションシステムズ(大阪市)と連携した新たな授業プロジェクトを始動した。約半年間にわたり、校内の課題をITの力で解決することを目標に掲げる。第一弾のテーマは、創部まもないラグビー部の身体強化を支援するシステム開発だ。
初日は同校一階のカフェテリアでキックオフミーティングが開かれ、ゼミ生約18人、ラグビー部員約20人、教員、さらにパナソニックISの社員が参加。プロジェクトの方向性や具体的な課題を共有した。
冒頭、同社の松渕健史さんは「ITは目に見えにくいが、日常のあらゆる場面を支えている。半年間、一緒に取り組む中で、ラグビー部やゼミ活動をデータで豊かにしていきたい」と挨拶。続いて人事担当の野間大樹さんからは企業理念や業務紹介があり、生徒たちにIT業界の幅広い可能性を伝えた。
ワークショップでは生徒たちが四班に分かれ、ラグビー部からの要望を引き出す「アイデア出し」を実施。その後、出た意見を整理・議論し、優先順位をつけたうえで発表した。ラグビー部員からは「食事や体重管理を毎日記録するのが負担。練習成果がデータで見えるようになれば励みになる」との声が上がり、ゼミ生は栄養摂取の目標設定や食事写真による栄養分析、身体データの記録アプリ、トレーニング記録のグラフ化など、多彩な提案を披露した。将来的にAIによる食事メニュー提案機能を組み込むアイデアも出された。

ラグビー部総務の長坂宗一郎さんは「異なる分野の生徒が協力し、部活動を支えてくれるのは貴重な機会」と振り返り、ゼミ生の進絢心さんは「食事分析や体重管理を支える仕組みを作りたい」と意気込みを語った。ラグビー部員の藤沢修太郎さんも「通知機能の発想が新鮮で役立ちそうだ」と期待を寄せた。
パナソニックISの担当者からは「高校生ならではの革新的な視点に感銘を受けた」「この経験を将来につなげてほしい」との声が聞かれ、今後も訪問やオンラインで技術支援を行う方針を示した。プロジェクトは要件定義から開発、検証まで、実際のITシステム構築と同じ手順で進められ、年内の完成を目指す予定だ。
今回の取り組みはラグビー部の強化に直結するだけでなく、関わった生徒にとっては社会とつながる実践的な学びの場となる。教育と企業が協働する新しい形として、地域や学校教育のモデルケースにもなりそうだ。
<メモ>
パナソニックISはパナソニックグループのIT企業で、航空券予約システムやQR決済など幅広い分野にソリューションを提供。今回のプロジェクトではデータ分析を専門とする部門が中心となり、生徒たちをサポートする。
■履正社中学校・高等学校/豊中市長興寺南4-3-19/電話06(6864)0456
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