久しぶりにコモンズ館Aに行ってみた。
笑みをたたえながら優しい声音で質問に答えてくれたトンガパビリオンは、優しい空気に包まれていた。
トンガと聞いて最初に思い浮かぶのはラグビーではないだろうか。国としてもスポーツを通じての子育てや教育は大切と考えているそうだ。
木彫りの彫刻や木の皮を使ったアート作品などが展示されているが、それらはトンガの一部を表すもので、アート作品をプッシュしたい訳ではないようだった。
プッシュしてないの? と思うほど作品としてのレベルはかなり高いと感じたので、その返答に驚いた。
これらは、コウゾの樹皮から作ったパタ布で編み上げた3Dタパアートと呼ばれるもので、確かに立体的になっている。
「〝トンガの人々は笑顔で親切、幸せで、誰がきてもウエルカムだ〟ということを知ってもらえたらうれしい」ということだったが、その思いは話をしていて伝わってきた。
上の写真の女性が「これは私よ」とポスターのモデルをしていることを教えてくれた。
漁業や織物、民芸・工芸品作り、アート制作などが多くの人が従事する職業で、ビーチリゾートなど観光も盛んだと聞き、経済的に裕福というより、精神的に裕福なのだろうと感じた。
壁に飾られていたアート作品の1つは、どこから見てもかなりレベルの高いものだったが、値段を確認すると1000円程度という回答。物価を考えても安すぎると思うが、考え方が商業的すぎるのだろうか?
話に登場したものの中でユニークなものとしてトンガの人が腰に巻いているタオバオという着衣がある。国王に会う際に着る正装で、重要な場面ではよく登場するという。
その昔、離島から国王がいる島へ来たトンガの人たちが国王に謁見する際に、見窄(みすぼ)らしい服しか着ていなかったので、高価な船の帆を破って腰に巻いて謁見したところ、王様がそれに感動し正装と認めたという逸話が残っているそうだ。
今では、日常的にも着用するようになり、その日の気分や祝い事、セレモニーなど、その場に相応しいタオバオを巻くようになっていったとのこと。
女性がつけているのはキエキエといって男性のタオバオとは少し違っているが、役割などは同じ。
母親が手作りして娘に与えたり、こちらのスタッフは「自分で編んだ」と言っていた。
トンガには電車がなく、車やバス、タクシー、自転車で移動しているので、来日して電車に乗るのが不安だったが、実際は問題なくスムーズにできてうれしかったと、微笑みながら教えてくれた。