モノマネタレント大御所、清水アキラ弟子の演歌歌手、美里里美(30)がデビュー7年目にして初の関西キャンペーンを行い来阪。京都を舞台にした宮尾登美子原作小説「序の舞」の主人公とされる女性初の文化勲章受章者の日本画家・上村松園をモチーフにした新曲「女⋯序の舞」は、CD即売会売り上げチャートでも上々の滑り出しで勢力的にPRを繰り広げている。

仙台市の北側に隣接する宮城県富合市出身。幼い頃から民謡を学び数々の賞を受けたが高校卒業と共にいったん地元の和菓子店に就職。清水アキラが審査員をしていたカラオケ大会で高得点をマークし「東京に出てこないか?」とスカウトされ20歳で上京。3年後に現在の芸名を師匠からもらいプロ歌手デビューした。漢字4文字で上から読んでも下から読んでも同じ。しかも左右対称形で「皆さんが一度聞いたら覚えて下さるから」との理由。物まねと演歌は一見異質に感じるが、デビュー前に師匠から課されたミッションは「1カ月に10曲。1年で120曲、自分の歌える曲を増やすこと」で、日々カラオケ店で練習し本当に2年間で240曲を覚えた。「民謡含めたら1千曲は歌えます。歌も物まねもお客さまを喜ばせる事は同じ。うまく歌うだけでなく師匠を見て早変わりや表情などを勉強させて頂いています」と話す。

原作本はもちろん、東映映画「序の舞」(主演名取裕子)もDVDで何度も見た。「閉鎖的で女性差別も当たり前だった明治の日本画壇。その中で想像を絶する主人公の苦労は私にはなかなか理解できなかった。特に東日本で生まれ育った私は京都弁のニュアンスが分からず苦労しました。実際に京都でお仕事もできて少しだけ近づけた気がします」と表情は複雑。
民謡で鍛えただけに自信があるのは「コブシと高声。それに師匠から学んだ滑舌」とキッパリ。

3年前に好きなお酒を断って「歌に全身全霊を懸ける」と決めた。「だって、師匠にラジオや営業にお供させて頂けるおかげで、私はアルバイトもせず歌手活動だけで食べていけます。好きな歌手を続けさせてもらいヒットを出す事が出来てこその恩返し。そのためにはほろ酔いを楽しんでる場合じゃないですから」と意欲を燃やしている。

(畑山 博史)