大阪維新、完勝 「都構想」〝三たび民意問う〟可能性

街宣車の上でマイクを握る吉村代表代行=当時=の演説に耳を傾ける聴衆。大阪市北区
街宣車の上でマイクを握る吉村代表代行=当時=の演説に耳を傾ける聴衆。大阪市北区

 今回の統一地方選で、大阪府知事・大阪市長のダブル選と府議選、市議選の「4重選」で大阪維新の会が完勝した。吉村氏は「選挙戦を通じて、3回目の都構想やってよ、という声が非常に多かった」と答えた。今後は党の看板政策を掲げ、 〝三たび民意を問う〟可能性がでてきた。

維新〝一強体制〟盤石に 都構想、政治生命問われる場面も

 今回、大阪の統一地方選で注目されたのは維新が大阪市議会の過半数を獲得するかどうかだった。大阪維新代表、吉村洋文氏は大阪市議会で初の過半数獲得を掲げ、「実現できなければ代表を辞任する」とまで言い切っていた。今回完勝したことで、大阪での維新の一強体制を盤石にし、政策遂行のフリーハンドを握った。

公明との関係「リセット」

 吉村氏が市議会〝過半 数〟にこだわったのは市長時代、維新は第1会派だったが、過半数を得ていなかった。このため自民党と公明党の協力がなかったら、政策がすすめられず両党に協力を仰ぎ、「妥協」しなければならなかった苦い経験があった。

 維新の「一丁目1番地」ともいうべき、大阪都構想の住民投票では公明党の協力を求め、「バーターとして公明党の現職の国会議員がいる大阪4選挙区には維新の独自候補の擁立を見送ってきた」(国会議員元秘書)

 今回、維新が単独過半数を獲得したことで日本維新の会、馬場伸幸代表は4月9日夜の記者会見で「公明との関係はリセットする」と強調した。維新は2021年の衆院選では候補を擁立した府内15選挙区で全勝しているだけに、公明にとっては脅威となる。

 今後、維新は府議会、市議会ともに単独で政策を進めることが可能となる。吉村氏は「4年で何が起こるか分からない」と含みをもたせた。

 「都構想」はこれまで2回の住民投票で僅差で否決され、当時の大阪維新代表の橋下徹、松井一郎の両氏は責任をとり政界引退を表明した。〝三たび〟都構想の判断を市民に仰ぐ場合は、吉村氏には政治生命をかける決断が求められる。

維新圧勝もIR誘致、賛否拮抗

 大阪府民・市民は今回の地方選で「維新政治の継続」を選んだ。それでも有権者は100%、任せたわけではない。吉村氏はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)については、「一定の民意を得られたと思っている」と受け止めを語った。

 ただ、吉村氏に投票した人のうちにIR反対は34%(共同通信の出口調査)、IR誘致も賛成(52%)、反対(45%)と拮抗している。ギャンブル依存症対策、IRの誘致先の人工島・夢洲の地盤沈下などの課題を懸念する声もある。