藤山正彦 (開成教育グループ) 入試情報室長
毎年、毎日新聞社から発行される高校別の大学合格実績をまとめた「大学入試全記録」。この数値を元に、今春の合格実績を20年前の2002年度と比較してみた。
まずは旧帝大(※1)+神戸大の8大学から。卒業生の人数に対する合格者の割合は左表の通りで、ここ20年の伸び率を学校順(※2)に並べてみると…
ご覧のように大阪の2トップである北野、天王寺がダントツの伸び率で、強い府立高がさらに強くなっている。11年度から設置された文理学科と進学指導特色校の施策がうまくいっているようだ。
そんな中で、大阪桐蔭と大阪国際大和田(4月から移転し大阪国際と校名変更)などの私学も実績を伸ばしている。
大阪工業大学高校から校名を変え、共学化、進学校化した常翔学園も難関国立大へ合格者を安定して輩出できる学校になった。
同様に関関同立も見てみよう。ちなみに100%を超えている学校は、私立大は一人で複数校に合格できるためだ。では、20年間の伸び率を見ると、14位までを公立高が独占する極端な状況となった。5位の北摂にある三島高は、式典や公式外交以外では制服の着用義務がない自由な校風で知られていたが、大学進学に向けた取り組みを強化したことに加え、立命館の大阪いばらきキャンパスが開設されたことで、立命館の合格実績が急増している(2022立命館大ランキングでは茨木高に次いで2位)。
この春、大阪市から大阪府に移管された東高は実数で23人から230人と10倍に。ちょうど20年前に島上高と高槻南高を統合して生まれた槻の木高も、当時の2校合わせて28から110と全く印象の異なる学校になった。
受験生の保護者は自身が受験した当時の印象で学校を判断するケースがあるが、進学実績だけを見てもこのように大きく変化している。また、私立高もコースの改編や設備のリニューアル、特色のある教育活動を導入するなどして日々進化している。
学校のホームページやパンフレットはもちろん、入試説明会やオープンスクールなどで最新の情報を手に入れることをお勧めしたい。
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【※1】旧帝大=東京大・京都大・名古屋大・東北大・北海道大・大阪大・九州大
【※2】新設校は20年前を0として集計。四天王寺羽曳丘と四天王寺東も厳密には同じ学校ではないが、参考までに加えている。府立の大手前は卒業生数に定時制も含まれるが、20年前も同じルールのため、そのまま計算