4月の住宅ローンの固定金利が引き下げに
住宅購入を検討している人にとって、住宅ローン金利の行方は最大の関心事。金利がたった1%違うだけで、4000万円の借り入れで700万円以上も総支払い額が変わってしまうほど大きい。購入を検討している人だけでなく、すでに住宅ローンを組んでいる人にも借り換えの検討材料になる。
そんな中、大手銀行で4月に適用する住宅ローン金利が出そろった。昨年から上昇基調だった固定金利の推移が一転。長期金利の基準となる10年固定金利が相次いで引き下げられた。
なぜ、金利が下がったの?
固定金利が一転して引き下げになった理由は、シリコンバレー銀行を発端に米国の銀行が相次いで破綻したことがきっかけだ。
世界に金融不安が拡大していき、市場で安全資産と言われている国債が買われていった。みんなが国債を買いはじめたことで金利が低下し、その影響が日本にも波及したのが要因だ。
国債と金利の関係についてのメカニズムは過去の記事を参考にしてほしい。>>【わかるニュース】リーマンショック再来の予兆か? シリコン銀破綻 金融不安が世界に飛び火
35年固定の金利が0.2%程度下がる
さて、4月にどのくらい固定金利が下がったのかを見てみよう。
10年固定の最優遇金利は三井住友が年0・89%(▲0・3%)、三菱UFJは0・95%(▲0・13)、三井住友信託が1・19%(▲0・18)、みずほが1・20%(▲0・25)と引き下げが相次いだ。りそなは金利優遇の条件を見直したため1・39%(+0・11)となった。
これに伴い、フラット35をはじめ、民間の30年を超える全期間固定タイプの金利も低下。こうした住宅ローンは長い返済期間中に金利が上昇してもリスクを回避できるメリットがあるが、変動との金利差が1%以上などと大きすぎるため、住宅ローンを組む人の大半は変動を選択している状況にある。
1%の金利差で支払額はどれだけ変わる?
例えば、35年固定が1・8%で、変動が0・5%の場合、4000万円の住宅ローンを組んだとして計算すると…。
【変動金利 0・5%】
毎月返済額………10万3834円
支払総額 ………約4361万円
【固定金利 1・8%】
毎月返済額………12万8436円
支払総額 ………約5394万円
変動の場合の金利上昇リスクを織り込んでいないが、固定の方が月2万5千円程度支払いが増え、総額では1千万円も多くなる。
そう考えると今回、固定金利が下がったことは、たった0・2%と言えど侮れない。
政府の少子化対策 子育て世帯にフラット35の金利優遇も
政府は3月末、岸田文雄首相が掲げる「次元の異なる少子化対策」の試案を公表。その中で、子どものいる家庭や、若い夫婦の世帯を対象に、フラット35の金利を引き下げる優遇策を設ける方向だ。住宅購入を検討している家庭は、どんな具体策が打ち出されるのかに注目しておきたい。