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同期に続き悲願のタイトル! ヘンダーソン、奨励賞で“東京の壁”突破口に

 笑いのメッカ大阪で最も伝統ある「第60回上方漫才大賞」選考会が開かれ〝大賞への前哨戦〟と位置付けられる奨励賞ネタバトルは、5組での競演を勝ち抜きコンビ結成17年目の「ヘンダーソン」が受賞。今年から1組ずつ点数が発表される新方式で、トリでの発表となった「ヘンダーソン」は前4組中最高点だった「マユリカ」の91点を大きく上回る95点。その瞬間、子安(38)はうれしさの余り膝から崩れ落ち、ネタ作り担当の中村(37)はと戸惑いながらガッツポーズし喜びを爆発させた。得点について中村は「他の4組は皆後輩。特にマユリカは先に東京に進出していて実力人気ともあり、彼らが最高点だったので〝アカンかな?〟と覚悟していた」、子安は「でも会場の手応えはあったんで期待感はあった。95点って聞いてバッと涙が…」としみじみ。

手拍子で場内を盛り上げた「ヘンダーソン」

 これまでの実績は「オールザッツ漫才」優勝(2021年)、「上方漫才協会大賞」文芸部門賞(22年)、「M-1グランプリ」準決勝進出2回(21、23年)ぐらいで、主な賞レースで十分な結果を残せずじまい。「上方漫才大賞」奨励賞はNSC29期同期の「吉田たち」が1昨年、「見取り図」が昨年受賞した因縁の賞。特に昨年は初ノミネートされたが敗退した。そのタイミングで住み慣れた大阪を離れ東京吉本に転籍。一部の熱烈なファンに支えられた大阪時代に比べ、誰も知る者がない東京での仕事と生活に四苦八苦しながらも、不安感を打ち消すように東西で年間822回の実演舞台をこなし着実に腕を上げた。

奨励賞受賞が決まり座り込む子安(中央)

 奨励賞のネタバトルでは、いきなり子安が会場を巻き込む手拍子から始まり、法外な請求をするボッタクリバーをモチーフにしたテンポの良いやりとりで爆笑を誘った。間もなく全国主要都市での初の単独ライブも始まる。「少しは全国の皆さんにもアピールできますかね?」と互いに顔を見合わせた。

2人で目を閉じて受賞の喜びを表現する「ヘンダーソン」

 賞金150万円の使い道を問われ、中村が「ネタは全部僕が書いているんやから6対4な」と先手。子安は「60万円かぁ~、それでも大きいな。東京へ行くちょっと前に結婚した嫁(俳優の寺浦麻貴)に未だ何もしてやれてない。一緒にどこか旅行したいなぁ」と夢を広げた。

勢揃いした「第60回上方漫才大賞」の受賞3組

 なお、大賞には芸歴20年目「銀シャリ」、新人賞は7年目「豪快キャプテン」と全て吉本興業所属の芸人が受賞した。

(畑山博史)