桃山学院大の学生らが「プロボノ」活動に挑戦 

 桃山学院大学ビジネスデザイン学部(大阪市阿倍野区)の学生がこのほど、自身のスキル・経験を使ってボランティア活動を行う「プロボノ」を日本初の試みとして実施した。

 「プロボノ」とは、社会人が職業上のスキルや経験を生かして取り組む社会貢献活動。プロボノに参加する人は、越境学習などの社外交流を通じたスキルアップと社会貢献に関心のある30〜40代から、リタイア後に今まで培ったスキルを社会に還元したいベテランやシニア層が多い傾向。そこで、参加が少ない若年層の発想やスキルも活用したいと考える、プロボノ活動をコーディネートするNPO団体「サービスグラント」の協力のもと、今回の取り組みが実現した。

 今回は、阿倍野区で地域活動を行う2団体に、学生らが課題解決を図る提案を行う。その中の1つ、親子の居場所作りやイベント・セミナーの実施など、子育て支援を行う「こももネット」への提案に学生らが挑戦した。

 まず、学生らはプロボノ活動の概要や支援先団体の説明を受けた後、2団体の概要や地域特性などを踏まえて、質問事項を検討。訪問時には準備した質問事項をベースに課題を丁寧に聞き取り、この課題を元に草案を作成。その後も再訪やヒアリングを行いながら、9月11日には最終提案にたどり着いた。

提案内容をグループ内で練っている様子

 提案内容は、「SNS運用のための説明書の提供」。アンケート集計の煩雑さと新規ユーザーに対する発信力の低さ、そのベースとしてSNSツールを使いこなせていない点が、「こももネット」の課題になっていることを学生たちは「こももネット」からヒアリング。その解決策として、スタッフが誰でも気軽にアンケートの作成やSNS更新ができるように、Googleフォーム、TikTok、インスタグラム、動画編集アプリCapCutと、4つの手順書を作成し提供した。最終提案日には、実際に説明書を用いながら動画を1本作成し、それをインスタグラムに投稿した。

 学生らは、「自分たちが当たり前と思っていることをノウハウとして誰かの力になれたことがうれしかった」「『サービスグラント』や『こももネット』など、それぞれの活動自体を知るきっかけができて良かった」と活動を振り返っていた。「こももネット」のスタッフからは「一通りSNSに触ってみようと思えるようになった」「若い力ってすごいなと思った」と声が上がっていた。

パソコンを操作しながらgoogleフォームを操作している様子

 今回のもう一つの狙いは、「学生時にプロボノを経験することで、社会人以降も継続してプロボノ活動に携わってもらいたい」というサービスグラントの思いがきっかけとなっている。学生たちは、実際に「プロボノ」を体験するにとどまらず、その体験を踏まえて、若者がプロボノ活動を行う「ユース・プロボノ」の可能性や展開についてサービスグラントに提言する予定だ。

集合写真

<取材協力>
・桃山学院大学ビジネスデザイン学部/大阪市阿倍野区昭和町3-1-57 聖テモテ館 4階~9階/電話06(4708)3561
・認定NPO法人サービスグラント 関西オフィス/大阪市中央区淡路町2-5-16 淡路町ビル8F/電話06(6484)5810
・こももネット こもものひろば 阿倍野筋/阿倍野区阿倍野筋5-1-17/電話06(6657)6966
https://www.servicegrant.or.jp/about/census