【吉村府知事番記者】「全数把握やめるべき」ハイリスクの人のフォローを考えた上で


▲記者団の取材を受ける吉村知事

 新型コロナウイルス「第7波」による感染者の急拡大で医療機関や保健所の業務が逼迫(ひっぱく)し、政府が見直しを検討しているのが感染者の「全数把握」。新型コロナは感染症法で「新型インフルエンザ等感染症」に位置付けられており、診断した医師は患者全てを保健所に届けなければならない。政府は診察した医師らが直接、感染者の情報を入力する情報共有システム「HER‐SYS(ハーシス)」を運用している。入力項目の簡素化なども進められているが医師の事務負担は大きい。パソコンに不慣れでファクスを使用する医師もあり、保健所も入院勧告などの措置を行う一方で、データの代行入力に追われている。全数把握について8月19日、記者団から質問を受けた吉村洋文知事は「高齢者や基礎疾患のある方への代替措置を考えた上でやめるべきだ」という考えを示した。

 読売新聞 国で陽性者の全数把握について見直す検討が本格的に始まっている。受け止めと、把握を止めた時の対応は。

 「保健所、医療機関の負担があるので基本的になくすべきだ。サーベイランス(監視)は定点観測しながら感染期にあるかどうかを把握すればよい。入院調整、リスクの高い人の健康観察もやっている。ハーシスでやらないと、病院の中だけで入院を調節し、フォローは個別の病院でやることになる。どれくらい病床が逼迫しているか分からない。同時にオール医療で対応するということをやらないといけない。一番困る高齢者、リスクの高い方のリスクをどうするかを整理した上でやめるべき」

 大阪日日 65歳以上の高齢者、基礎疾患のあるリスクの高い人の課題整理という1点、(指定病院だけでなく)オール医療でという2点をクリアした後に、全数把握をやめるべきということですか。

 「そうですね。第2点はずっと言ってきて実現できていないところなので、仮に第2点ができなかったとしても第1点はちゃんと整理すべき。リスクの高い高齢者の方、もともと持病をお持ちの方への代替措置をきちんと考えた上でやっていくべき。そういった方の致死率は高いと社会として受容するというのなら、国として宣言しなければならないし、宣言しないのであれば、リスクの高い人をどう守るのかを一生懸命考えるべき」