安藤忠雄氏監修設計の新名所「VS.(ヴイエス)」がグラングリーン大阪に開業

 9月6日に先行まちびらきを迎えたうめきた「グラングリーン大阪」内の新名所「VS.(ヴイエス)」で、開業セレモニーが開催された。設計を監修した建築家の安藤忠雄氏や吉村洋文府知事が登壇し、美しい光や音楽と共に開業を祝った。

施設ではなく「文化装置」

 「同建物はうめきた2期区域のテーマである『みどり』と『イノベーション』の融合拠点を具体化した文化装置である」と語る同所共同事業体副代表の野村卓也氏は、「グランフロント大阪」の中核施設「ナレッジキャピタル」の総合プロデューサーを務めている。「『ナレッジキャピタル』は新しいアイデアの芽を生み出す入り口で、『VS.』はそれを可視化して発信する出口の役割。アートやテクノロジー、ビジネス、そして我々人間がこの場所を通ることで、さまざまな形に変容され、社会に根付いていく。そういう場所にしたいと思っている。そのため、ここはオープンスペースとしての施設でなく新しい文化装置として考えている」と熱を込めた。

VS.セレモニー写真

真鍋大度氏によるこけら落とし個展スタート

 オープニングエキシビションとして、アーティストの真鍋大度(まなべだいと)氏による新作個展「Continuum Resonance(コンティナム・レゾナンス):連続する共鳴」がスタート。本展では全空間と超高精細なサウンドシステムを使った4つの空間造形が体験できる。同建物の建築3Dデータなどからリアルタイムで生成される映像や音楽が空間全体を満たし、この場所でしか味わえない新しい空間体験を生み出している。会期は9月6日〜10月14日で、入場無料。

VS.外観

 今後も、アートディレクターの吉田ユニ氏による「吉田ユニ展」(会期:11月1日〜12月1日)や、竹中工務店主催の「たてものめがね まちめがね展 宇宙から虫まで、縮尺で考える建築の見方 created by TAKENAKA CORPORATION」(会期:2025年2月8〜23日)の開催が予定されている。

 また、万博直前の2025年3月20日から7月21日までは、安藤忠雄氏による「安藤忠雄展 青春 TADAO ANDO YOUTH」が開催予定。セレモニーに登壇した同氏は、「万博の前に個展を開かせていただく。『VS.』を含めた『グラングリーン大阪』は世界に発信する場としてのスタートラインに乗ったと思う。これからはやぶれかぶれに頑張らないといけない。元気な大阪を世界に発信したい」と意気込んだ。

安藤忠雄氏ご挨拶

「JAM BASE」開業記念イベントも

 「グラングリーン大阪」ノースタワーの中核機能施設「JAM BASE(ジャムベース)」でも開業記念イベントが開催。同施設は大学・研究機関やスタートアップ企業などのイノベーション活動を官民連携で支援することを目的とし、施設内は多様な人々が交流できるコワーキングスペースやレンタルオフィス、カンファレンスルームが設けられている。

登壇した吉村府知事

吉村府知事「貨物ヤードだったこの場所で、新しいイノベーションを世界へ発信する」

 両セレモニーに登壇した吉村府知事は、「これから100年、200年愛される街を作るためには、都心のど真ん中に本物の『みどり』が必要で、梅田という西日本の中心拠点であるこの場所に『みどり』と『イノベーション』の融合拠点ができたことに大きな価値がある。うめきた2期区域は、10年前までは貨物ヤードだった。これまでは貨物を大阪やアジアに運んでいたが、新たに開業を迎えた『VS.』と『JAM BASE』では文化や技術、アートを生み出し、イノベーションを大阪から世界に発信する。送り出すものは違うけれど、本質は同じだと思っている。これが第一歩。みなさんと共に、素晴らしい大阪を作っていきたい」と期待を寄せた。

開業を記念したフォトセッション

■VS.(ヴイエス)/ 大阪市北区大深町6番86号グラングリーン大阪うめきた公園ノースパークVS.
■JAM BASE(ジャムベース)/大阪市北区大深町6番38号