和歌山県有田川町出身の若手演歌歌手、山西アカリ(33)が神戸市で開かれたKOBE流行歌ライブに出演。満員の観客に和歌山弁でトークを繰り広げ、同県を代表する大河を歌った最新曲「紀ノ川よ」と、同県岩出市が発祥とされる根来忍者に由来するコミカルな「危険な呪文」を熱唱した。
昨年末に急逝した八代亜紀を偲んで「おんな港町」も披露。同町のある有田郡町村会から観光大使に委嘱されており、会場のファンに有田みかんのPRも忘れない。
「今日の衣装は、もう一つのお楽しみぶどう狩りが間もなく始まるのでそのイメージカラーで」
そう郷土愛を全開した。
幼い頃から祖父母が営むカラオケスタジオに通い演歌・歌謡曲の英才教育を受けた。2008年にNHK「のど自慢」グランドチャンピオン大会に出場。作曲家・水森英夫の門下生となり、17年門下の若手女性演歌歌手トリオ「水雲-MIZMO-」メンバーとしてCD発売と同時に、メジャーデビュー目指し渡米。しかしグループは折からのコロナ禍で活動休止を余儀なくされ解散。昨年6月、地元を歌った「拝啓みかんの里」でソロ歌手として再デビューした。
上京前はお隣の広川町で保育士として勤務した経験もあり、要請を受け県特産品「有田みかん」アンバサダーにも就任した。
久々の関西入りに「生まれ育って当たり前だと思っていた故郷の魅力、家族や友達ら人のありがたさは、上京して離れてみて一層強くなった。関西空港が近いので和歌山市までは来県者は増えているそう。有田郡3町は有田市の南東隣で有田川が流れとても自然が豊かな地。多くの人に地域の魅力を発信していきたい」と決意。
身長164㌢で細身だが「東京マラソン」完走のキャリアを持ち、今ではキックボクシングで汗を流すスポーツウーマン。左手でサラサラと描く趣味のイラストも得意で、「危険な呪文」をイメージした様々な女性忍者はお手製オリジナル。サイン色紙の横にも書き添える事が増えファンに好評だ。
目標は同じ事務所の先輩でNHK紅白歌合戦9年連続出場中の山内惠介(41)と、同県人・上富田町出身で同歌合戦通算35回出場の坂本冬美(57)。「演歌・歌謡曲の先輩は皆若い頃に苦労されている。私なんかまだまだ」と理想は大きい。
悩みは東京で電車の乗り継ぎがいまだに覚えられないこと。
「だって路線が複雑に交錯して、乗り換えの時にうっかり逆方向に乗ってしまう。地下鉄は外が見えないし、出ても街並みが同じに見え気が付かない。10駅ぐらい過ぎて気付くのはザラ」
自炊にも慣れて料理の腕は上達。
「地元の食材を母が送ってくれるので、それを使った料理を考案してユーチューブに上げれば、故郷産品のPRになるかも?」と
水雲時代トリオを組んだ仲間2人とは今もSNSで励まし合うほど信頼し合っている。
「苦しい時の疲れと哀しみは3分の1に減り、うれしい時の喜びは3倍」
(畑山博史)