4月20日にリニューアルオープンした「水木しげる記念館」(鳥取県境港市)は『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめとする作品の展示や「戦争という理不尽な3年間」にスポットを当てて過酷な戦争体験など水木氏の波乱万丈な生涯を資料と共に紹介している。
水木氏は好奇心が旺盛な少年だった。それが原因か?あまり勉強をせず、受験に失敗している。51人中50人合格のところ、不合格になったという。その後、就職しても長く続かず、首になって就職を繰り返した。戦地はラッパの担当になるが上手に吹けず「初年兵と畳は叩くほど良くなる」とビンタされない日はなく理不尽な毎日を過ごしていたという。
特に印象に残るのは、突然の襲撃を受け部隊は全滅した時の様子だ。命からがら夢中で逃げ、必死な思いで生還すると「みんな死んだんだから、お前も死ね」と言われたそうだ。まさに「戦争は人を悪魔にする」だ。犠牲を美化する国家への怒り、それが水木作品のエッセンスとなっているのではないだろうか。
館内には「水木しげるの言葉」のコーナーがある。例えば、「スタートがおくれたからといってクヨクヨする必要はない」といった言葉だ。受験に失敗した、就職も上手く行かなかった、戦争で上官から理不尽な嫌がらせが横行した、貧乏だった、売れなかった。苦労した、貧しかった。でも、好きだった絵は諦めなかった。その結果、歴史に名を残す人物になった。そんな人生が記念館で見ることができる。
このほか、常設展示に加え「企画展示室」を開催。企画展では貴重な原画を半年ごとに内容を変えて展示する。第1回の企画展は4月20日のリニューアルオープンから10月20日までを前期、10月22日~2025年4月6日を後期で予定。第1回のテーマは「鬼太郎の誕生—生まれかわる四つの物語—」だ。「目玉おやじはナゼ目玉なの?」「鬼太郎のお母さんは?」その秘密が知りたい人は、足を運んでみては。
■水木しげる記念館/鳥取県境港市本町5番地/電話0859(42)2171/営業9:30~17:00/年中無休