国土交通省、環境省、経済産業省の3省連携による「住宅省エネ2024キャンペーン」の交付申請と予約の受付が3月29日からはじまっている。主に住宅のリフォームに対する補助金だが、どのような工事が対象になるのか、解説する。
キャンペーンの予算総額は4215億円で、①「子育てエコホーム支援」、②「先進的窓リノベ」、③「給湯省エネ」、④「賃貸集合給湯省エネ」の4つの事業に支援するというもの。
子育てといえど全世帯が支給対象に
まず、①から見ていく。「子育てエコホーム支援」の名称だが、リフォーム工事については全世帯が対象になる。前年から46%増額され、2500億円が予算に組み込まれた。
必須工事は(イ)開口部の断熱改修、(ロ)外壁、屋根・天井または床の断熱改修、(ハ)太陽光発電設備や節水型トイレなどのエコ住宅設備設置のいずれか。ビルドイン食洗器や浴室乾燥機設置など家事軽減が見込まれる工事や、防災性向上、バリアフリー化、空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置などは任意工事の対象だ。
補助額は1戸あたり上限20万円。ただし、子育て世帯、若者夫婦世帯が自ら居住する住宅に行うリフォーム工事である場合、既存住宅を購入してリフォームする場合、または増改築を行い、長期優良住宅の認定を受ける場合は上限が引き上げられる。
中古品の使用など認められない工事もあるほか、補助額の合計が5万円未満は対象外。リフォームに特化した業界専門紙、リフォーム産業新聞(東京都中央区)小平隆嗣デスクは「前回の『子育てエコホーム支援事業』に該当する補助金は、9月には予算が消化された。今回、増額されたが、早期に終了する可能性もあるので注意が必要」と話す。
新築は子育て・若い夫婦のみ対象
新築については18歳未満の子どもを扶養する子育て世帯と、どちらかが39歳以下の若者夫婦世帯が支援を受けられる。対象住宅は次の二つ。
一つ目は「長期優良住宅」。認定を受けた新築住宅を購入した場合、1住戸につき100万円が補助される。ただし、市街化調整区域で、土砂災害警戒区域または浸水想定区域に該当する住宅は50万円となる。
二つ目は、太陽光発電など再生可能エネルギーを導入して1年間で消費するエネルギー量を実質的にゼロ以下にする「ZEH(ゼッチ)住宅」を購入した場合。1住戸につき80万円補助される。市街化調整区域で、土砂災害警戒区域または浸水想定区域に該当する住宅は40万円が上限となる。
ペアガラスへの交換にも支給
②「先進的窓リノベ」は、既存窓のガラス部分を複層ガラスに交換する工事や、内窓の設置、断熱仕様のドア工事に対し、補助金が支給される。上限は1戸あたり200万円。補助額が5万円以上であることを条件とし、①の「子育てエコホーム支援」と同様に、対象外とする工事がある。
エコキュートなど普及拡大
③「給湯省エネ」事業は、家庭内のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯について、高効率給湯器の導入や普及を拡大させる試み。
対象機器はエコキュート、エネファーム、ヒートポンプ給湯機とガス温水機器を組み合わせたハイブリッド給湯機。既存設備を撤去する工事費用も補助される。
④「賃貸集合給湯省エネ」は、賃貸住宅のオーナーが既存の給湯器をエコジョーズやエコフィールなど小型の省エネ型給湯器に交換した際に補助される。1棟あたりの全戸数が2戸以上ある建物。竣工から1年以上が経過した、または居住した実績がある建物が条件。
補助受けるには登録業者へ依頼
補助金を受けたい場合は同キャンペーンに登録する「住宅省エネ支援事業者」に工事を委ねる必要があり、申請はリフォーム事業者、販売店、工務店など同登録事業者を通じて行う。
リフォーム産業新聞の小平デスクは「補助金を利用するにはキャンペーンサイトに登録している事業者から選択しないと補助の対象外になる。対応しているかどうかは事業者によるので事前に相談したほうが良い」と指摘する。
なお、①から④の事業は併用することができるが、同じ工事に対して重複して申請を行っていた場合、いかなる理由でも交付申請は無効となる。
申請期限は、遅くとも12月31日までで、予算上限に達すると受け付けは終了。詳細は「住宅省エネ2024キャンペーン」で検索を。問い合わせ窓口は電話0570(055)224。