「歌で地域をPR」 葵かを里が20周年に向けて決意新たに

 和服姿で歌いながら舞い踊る演歌歌手、葵かを里がデビュー20周年記念曲「城端(じょうはな) 曳山(ひきやま)祭」を出し本拠の中京地区をはじめ、東京や大阪で意欲的なキャンペーンを行っている。

南砺市で採れる「しけ絹」を使った衣装を着た葵かを里

 日舞・芙蓉(ふよう)流名取だけでなく華道、茶道も修めた純和風女性。デビュー4年目に巡り会った作詞家・麻こよみと組んで京の街並みや自然風景を舞台にしたシリーズを約10年間続け、作曲家・影山時則も09年にはチームに合流。他の作詞家・作曲家の楽曲も手がけた後、今年まで4年連続で再び麻・影山コンビで各県の名所旧跡の自然や祭りをテーマにした曲を次々送り出し。今回の舞台となった富山県南砺市観光協会から「南砺観光大使」を委嘱され、これで観光PRに一役買う役割の大使などは5カ所目となった。

 曳山祭とは、同市城端地区の城端神明宮で毎年5月5日に行われる春季祭礼。京の雅(みやび)を表現した曳山と江戸の粋(いき)さを表す庵屋台が融合して巡行、国の重要無形民俗文化財とユネスコ無形文化遺産に登録されている。

 葵は同市内に居住する長年の後援者に招かれ、昨春の祭りを麻と共に観賞。麻が「すぐに詩が浮かんだ」といい、カップリングの「夫婦(めおと)滝」も同市に実際あり、こちらも麻がすぐに詩としてまとめた。曲は「曳山祭」を影山が、「夫婦滝」は葵自身がペンネーム茶野香名義で書き上げた。

 「幻想的な素晴らしい祭りでした。現地で実物を見て〝ぜひコレを曲に〟と麻先生と夜通し話し合いました。歌いやすい曲になっているので、ぜひカラオケで歌ってみて」と葵。

 衣装の着物は南砺市で採れる絹繭(きぬまゆ)のうち「3%しかない」といわれる1つの繭に2匹の蚕が入った玉繭から紡がれる玉糸を用いた「しけ絹」という縮れたような風合いの素材を使った希少品。前出の後援者の妻が所有。葵は「暑くなると着られないので、春先のこの時期にぜひ見てほしい」と説明。

指でデビュー20周年をアピールする葵かを里

 20周年に向け葵の決意は2つ。まずコロナ禍で中高齢のファンに生の舞台を見てもらう機会が減ったことから、できるだけ実際に舞い踊る舞台を持ち続けること。そしてさまざまな地域を自身の曲で取り上げる事で、舞台となった地とそこでの催事を全国に広める努力をすること。「素晴らしい日本の原風景とそこに生きる人々。PR大使的な役割をもっと続け広げるのが私の天命。20年やってきて自分の立ち位置にようやく自信が持てました」と華やかな笑顔をパッと咲かせた。

 4月15日から1週間、三重県桑名市の長島温泉「湯あみの島」で毎日2回の歌謡ショウ。5月15日には大阪・アメリカ村のライブハウス「BIGCAT」で「大阪発流行歌ライブ」に出演と、念願の実演が相次いでいる。

  (畑山博史)