超低金利が続いたことで、最近ではフルローン(頭金なし)で住宅ローンを組む消費者が増えている。一方で一定額以上の頭金で貸出金利を引き下げるタイプも増加している。その背景には、住宅ローンの一律の金利引き下げ競争が限界に近づき、金融機関では信用力の高い優良顧客の囲い込みの狙いもある。
住宅金融支援機構の「フラット35」を利用した場合、10%以上の頭金を用意すると、より低い金利が適用されるが、大手銀行では導入していない。国内銀行による22年度の住宅ローン新規貸付額は15兆4360億円で金融機関、なかでもネット銀行にとっては安定した需要が見込める優良な融資先とみている。
PayPay銀行は昨年10月から頭金1割以上と1割未満で金利水準を分け、頭金1割以上の場合は0・04%低くした。住信SBIネット銀行は住宅価格の2割以上を頭金として入れると、2割未満の時に比べて0・022%引き下げて0・298%とした。イオン銀行も昨年から頭金2割以上で0・38%とした。
地銀の住宅ローン担当者は「頭金が多いと担保評価額が融資評価額より大きいので安心して融資できる」と話し、融資の焦げ付きを回避するためにも優良顧客を囲う意味は大きい。