国際理解・課題探究型の学びも充実 大阪府立水都国際中・高
英語によるコミュニケーション能力の育成、課題探究型の学びに重点を置いた教育を推進する全国初の公設民営による中高一貫教育校、大阪府立水都国際中学校・高等学校(住之江区)。府内の公立高校で唯一、国際的に通用する大学入学資格を取得できる国際バカロレア(IB)コースを設け、開学から5年目を迎え、近年では国内外の有名大学への入学も確実に増えている。何よりも公設民営学校の強みで家庭の経済状況に関わらず少数精鋭の高度な教育を受けられるのも魅力的だ。
IBの国際基準で「大学門戸開放」
国際バカロレア(IB)は国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルート確保を目的にしている。水都国際の同コースは国際バカロレアIBDP(ディプロマプログラム)を採用し、高校2年からスタート。授業は1クラス最大15人程度の少数精鋭主義でIB教育は探求心、思いやり、多様性を学ぶ。科目は2年間にわたって6つのグループ、第1言語が日本語、第2言語は英語。そして社会科、理科、数学、芸術またはどれかもう1科目選択できる。
ITコーディネーター・教務主任の佐藤吾朗教諭は「文系を将来イメージしていても、数学はがっちりあって、バランス脳を大切にしているので理系の勉強からも逃げられない。逆に理系のほうでも社会科はやります。全員でやるコア科目として『知の理論』、『課題論文』と「奉仕活動、創造的活動」があります。実際に学習しているなかでの2年間で内部評価があります。これは本校の担当教員がそれぞれ、最終スコアに20~30%の配点があります。これも厳密にやるので、学校としてはいい点をあげていい進学先に行ってもらいたいですが、この課題に何点つけたというのは、国際バカロレア本部の査察がはいり、厳密につけるということで、国際バカロレア資格は国際的に通用することが担保されています」
最終的には3年生の11月に実施される外部試験で45点満点中24点を取得すればフルディプロマの認定が得られ、卒業時には高校卒業資格を得ることができる。IBの厳しい国際基準は国内外での評価も高い。関西では大阪公立大、関西学院大学、立命館大などの有名大学や海外の一流大学でも高く評価される。
井上省三校長は「日本の大学もIBをいかした大学入試がどんどん増えています。本校の優秀な生徒は45点満点中、40点とっています。世界大学ランキングでは東大よりも高いメルボルン大学も合格しています。来年は中高6年間の教育を受けた4クラス160人の生徒が初めて卒業する年度となり、成果が楽しみです」と笑顔を浮かべる。
『知識』を『知恵』に変えられる教育
同校は学校教育全体の学力向上に寄与する拠点校を標ぼうし、全てのコースに大学の指定校推薦枠を確保し、生徒が希望する進路へ進めるように細やかなサポートを行っているのが強みだ。
授業は生徒が主体となって使える英語と、国際理解、課題探究型の学び、ICTの活用が教育の柱となっている。教員の30%は英語のネイティブの理科や数学の教員が、英語で授業(イマージョン授業)を行い、英語指導教員(EAL)が英語のサポートを行っている。授業中以外でも英語が飛び交い、学校行事もバイリンガルで、校内で国際体験・海外留学しているような学園環境が整っているのが強みだ。
井上校長は「本校は知識重視の学校ではなくて、『知識』を『知恵』に変えられる教育をしている学校。探求型授業に特化している。そこが他校より数歩先を歩んでいます。そういうことが好きな子どもに集まってくれたらうれしいですね」と受験生に呼び掛けている。