パパパッ!とスピード感があるも丁寧な焼き上がり 「ねぎ焼」のルーツが味わえる店

 大阪といえば、たこ焼き、お好み焼き・・・と〝コナモン〟の街だ。そして「ねぎ焼」も大阪を代表するご当地グルメの一つ。「ねぎ焼」は1965年(昭和40年)頃、十三の小さなお好み焼き屋で誕生した大阪の味である。ルーツとなった「ねぎ焼やまもと 本店」を取材した。

 十三駅から昭和の赴きを残すアーケードを抜け、国道を渡るとスグに「ねぎ焼やまもと」の緑の看板が見えてくる。暖簾(のれん)をくぐり、店内に入れば、そこには鉄板をコの字型に囲むカウンター席があるのみ。客の視線は必然的に調理者に注がれる。「ガッツリ見られるのって、緊張しませんか?」と聞くと、「そんなんスグ慣れるわ」と笑いながらコテコテの関西弁が返ってきた。

 取材に応じてくれた山本さんは、創業当時の母の味を受け継ぐ三姉妹の一人。まさに山本家のレジェンド、その人だった。「ねぎ焼」の由来について話を聞くと、始まりは子どものために母が作った賄いで、それを見たお客さんが「私にも」とリクエストしたのがキッカケだったという。
 その後「ねぎたっぷりのお好み焼き」は評判となり、メニュー化され、特製醤油とレモン果汁のサッパリした味わいは更に話題を集め、山本家の味は次第に大阪の味として親から子へ引き継がれたそうだ。

 「ねぎ焼」をオーダーすると、パパパッ!とスピード感があるも丁寧に焼き始める。まるでエンターテイメントのショーを見ているような手際の良さに驚かされる。味は、想像と期待感を超えたフワフワ感、それでいて香ばしい口当たり。「やっぱ本物は違う」と思わず呟いてしまう。街中では似たメニューを頻繁に目にするが、〝ねぎ焼〟 は「ねぎ焼やまもと」の登録商標である。

■ねぎ焼やまもと 本店/大阪市淀川区十三本町1丁目8-4/電話06(6308)4625/営業11:30~21:00/不定休