自分の大切な人が亡くなった時、「こんなことなら、言葉にして伝えておけばよかった」と後悔することがある。そうした思いを手紙に書いて届けることができたとしたら─。故人に向けて書いた手紙を焚き上げる「天空へのメッセージ」を行っている「高野山真言宗 興徳寺」を取材した。
都会の中の静けさで
大阪市天王寺区にある同寺院は、中へ足を踏み入れると、大阪市内であることを忘れるかのような静けさが漂っている。
「天空へのメッセージ」は、池のそばのポストに手紙を投函する仕組みだ。寺務所には、興徳寺オリジナルのレターセット(1000円・お焚き上げ代金込み)が販売されている。
書くことは、小さなガス抜き
青木隆興住職は、「手紙を書くことで、今を生きる人たちに多少なりとも、楽になっていただきたい」と話す。自身も書くことが好きで「興徳寺便り」を年に2回発行している。手を動かして書くことで、思考がスッキリする感覚があるという。
続けて「〝死〟への向き合い方は、人それぞれ。だからこそ、手紙を書いて言語化すると、気持ちが整理されるのかもしれない。〝小さなガス抜きみたいなものです〟」と青木住職は微笑んでいた。