大阪市福島区の聖天通商店街に「聖天通劇場」がオープンする。こけら落としは3月。落語、講談、演劇公演で新劇場の誕生を祝う。支配人の永井秀樹さんは街と一体化した「芸術文化がすぐ手の届くところにある」劇場を目指す。
劇団青年団(主宰・平田オリザさん)で俳優として活動する永井さん。東京を拠点に制作にも携わり、ワークショップなどを通し演劇文化の普及にも努めてきた。同区は生まれ育った場所で、2020年に家業を継いだことをきっかけに、これまでの経験を生かして新たな芸術発信拠点を設けた。
2階建ての1階部分が劇場で、定員は29人。椅子は自由に設置でき、演者や作品を邪魔しないよう場内は真っ黒に統一した。中2階に音響や照明、2階にはシャワールームなどを備えた広々とした楽屋がある。
こけら落としシリーズは3月3日の落語からスタート。柳家喬太郎さんの独演会で、ゲストに一龍斎貞寿さんを迎える。17、18日は旭堂小南陵さんと旭堂南龍さんの講談会と永井さんの一人芝居。23~26日は青年団による2本立て公演を予定する。
7月からは一般貸し出しもスタート。周囲には飲食店も多く、観劇後は食事をしながら感想を言い合ったりと、街に溶け込んだ劇場に育つことを願う。永井さんは「ゆくゆくは区民劇団も発足させたい」と言い、「区民による区民のための演劇公演」を目指す。演じる人、作る人、見る人を育てるワークショップなども視野に入れ、「ここを踏み台に、すごい才能が羽ばたいていってくれたら」と目を細めた。