「本物のスルメと思いきや、木彫りだった」あべのハルカス美術館で企画展開催

 あべのハルカス16階の「あべのハルカス美術館」は9月3日まで、〝驚きの技による精巧な工芸作品〟を集めた企画展「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」を開催中だ。好評だった2019年の続編で、今回は現代作家を中心に約120点の作品が並ぶ。

 早速、作品を鑑賞してみると、単なる干しスルメが展示されている。実は一つの木材から彫り出した一木造(いちぼくづく)りのスルメだ。前原冬樹さんの「《一刻》スルメに茶碗」という作品で、目を凝らして見ても本物にしか見えないリアルさに驚かされる。

 前原さんの作品には《一刻》というタイトルが付けられている。木を刻むという意味の中に、時間を彫っているという意味も込められているのだとか。打ち捨てられているモノ、長い時間をかけられたモノを刻々と時間をかけ作品にしていく…。こうした作業の末に完成した作品からは「ニオイもしてきそう」と好評だ。ほかにも、グローブとボール、トタンに釘(くぎ)、板に鎹(かすがい)など、まさに〝超絶技巧〟が楽しめる。

 木彫以外のほか、漆工や金工、陶磁など、現代アートだけでなく、そのルーツとなった明治工芸の逸品も展示されている。来場者からは「瞬きを忘れてしまうほど見入ってしまいドライアイになりそうです」と話していた。

■あべのハルカス美術館/大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F/電話06(4399)9050/開館時間 火~金は10:00~20:00(※月土日祝 は10:00~18:00)/入館料 一般1,600円/大高生1,200円/中小生1,200円