戸籍にこれまで記載がなかった氏名の「読み仮名」を必須とする改正戸籍法などが6月2日、参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立した。2024年度にも施行され、全国民が施行後1年以内に本籍地の市区町村に届ける必要がある。いわゆる「キラキラネーム」など漢字本来と異なる読み方は「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」との基準を設けた。
「キラキラネーム」に一定基準
記載は片仮名で、新生児らが初めて戸籍に載る際は併せて読み仮名を記す。その他は戸籍筆頭者が氏名、筆頭者以外が名前に関し届ける。書面か、マイナンバーカード取得者向けのサイト「マイナポータル」を使った届け出を想定する。
「一般に認められている」の基準の詳細は法務省が今後、通達で示す。①漢字とは意味が反対②読み違いかどうか判然としない③漢字の意味や読み方からはおよそ連想できない─といった読みは許容しない方向で、具体的には「高(ヒクシ)」「太郎(ジロウ)」などは認められない見込み。常用漢字表や辞書に掲載がない読み方の場合も、届け出人に説明を求めた上で判断する。
届け出を促すため、市区町村は住民票などで既に把握している読み仮名を通知する。1年以内に届けがなければ、職権で記載する。
今後は膨大な受理業務に対応する自治体の負担軽減が課題。高齢者や障害者ら届け出が困難な人への支援も必要となり、衆参両院の委員会は、付帯決議で「十分な配慮」を求めた。
行政事務のデジタル化に向け、読み仮名を記載して個人データの検索や利活用を容易にすることが狙い。マイナンバーカードの海外利用で氏名をローマ字表記する必要があることも踏まえた。