地球上で最も希少な動植物の聖地セーシェル 3カ国語が飛び交う小国の魅力【コモンズ館A】

 アフリカ大陸の東側に点在する115の島々からなる国セーシェルは、コモンズ館Aに出展している。「ドバイから4時間だから近いよ」とスタッフから言われたのだが、「そうですね」とは言いづらかった(笑)。

 美しい自然と穏やかな人たちの国セーシェルは、人口が10万人を少し超えた程度で、大半の人が首都ビクトリアがあるマヘ島に住んでいて、多くの島が無人島のままで、中には保護区に指定されており、上陸するのに政府からの許可がいる島もある。

 元々ナポレオン時代のフランスが入植し、その後英国に引き継がれて、1976年6月29日に独立した若い国で、英仏の支配を受けていたため、国民のほとんどが英語、フランス語、そして現地語のクレオール語を話す。
 学校でも3カ国語を教えていて、自宅で家族と話す時はクレオール語、外で仕事するときは英語、必要に応じてフランス語、と日常で使い分けているということだった。
 子どもの頃から3カ国語を話す機会があるので自然と話せるようになる、ということで、スタッフの一人に「日本に来て印象に残っていることは?」と尋ねたら、「英語を喋れない人が多くてびっくりした」と言われてしまった。
 何が違うのか話を聞いてみたが、結果はやはり、実生活の中で英語やフランス語を使う機会が普通にあり、そのため、自然と言葉を使うので話せるようになる、ということで、日本で最も欠けている点がそこだと改めて痛感させられた。

 そんなセーシェルには、金融やIT、観光や製造業など様々な産業があり、公務員の中には公費で海外へ留学して学んできたことを帰国後に仕事で生かす人が多くいると聞いた。
 小さい島国なので、若者はチャンスを求めて国外へいくのかと思ったが、そういう傾向はないようだ。話ししていてもセーシェルという国が好きなんだろうな、と感じる雰囲気があった。

 生活物価を尋ねてみると日本の方が少し安く感じるということで、アフリカ大陸の東の海上に浮かぶセーシェルよりも日本は物価が安いのか! と密かに衝撃を受けた。
 欧米からは観光客が訪れ、ウィリアム王子とケイト・ミドルトン夫妻がハネムーンで訪れたりする場所なので、ヨーロッパ方面ではそれなりに知名度のある国なのかもしれない。そのクラスの人たちが来ても困らないレベルの施設やサービスを提供しているのだとしたら、私たち一般の日本人には少し背伸びが必要な旅先になるのかもしれない。

 セーシェルは自然史に関する博物館とも称されていて、地球上で最も希少な動植物の聖地。国土の47%を国立公園や保護区、領海の30%を海洋保護区に指定して保護している。
 その結果、ターコイスブルーの海や延々と続くビーチ、世界一重いナッツ、ココ・ デ・メール、8本しか現存しないというクラゲの木、最小のカエルから最も重い陸ガメなど貴重な動植物が残っている。

 そんな自然の植物や動物をレプリカにしたアート作品がセーシャルのパビリオン内にはいくつも展示されていて、美しい自然の映像とともに、来館者の注意をひいていた。

 スタッフと話をしていて、人の良さを強く感じ、「この国に行ってみたい」と思わせる不思議な何かがあった。

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