立体物にも縫製できる「MIRAIミシン」万博で披露 イスやソファも補修、縫製の常識変える

 ミシンメーカーのアックスヤマザキ(大阪市生野区)は、トヨタ車体(愛知県刈谷市)の特許技術を活用することで立体物に縫製できるミシン「MIRAIミシン」を開発し、プロトタイプを万博会場内のヘルスケアパビリオンブース関西大学リボーンチャレンジで8月5~11日の期間、披露している。

 大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジセクションは、週単位でテーマを決めて、そのテーマに関連する企業が出展している場所。

 同社が開発したのは、上糸だけを使い、下糸の代わりにタグピンを使ったミシン。

 これだと既に立体的にでき上がっているイスやソファー、サドルやサンダルなどの破れや切れ目の部分に上から別の生地を縫い合わせたり、縫い目自体をファッションやデザインとして利用する加飾縫製もできる。

 仕組みはこうだ。糸を通したタグピンを対象物に直接打ち込み、上糸で縫い付けることでタグピンが糸抜けを防止する役割を果たし、生地を縫い合わせて縫合、縫製する。

 今回披露されたMIRAIミシンはまだプロトタイプで、これから改良を加えて来年には実際に商品化させて販売を開始したいと考えているという。この万博では多くの人から様々な意見やコメント、感想が寄せられているので、これらを生かして今後どの方向で改良していくかを検討するそうだ。

 業務用ではなく「一家に一台」を目指して、家庭で趣味やDIYなどで活用してもらえたら、と考えているそうで、ミシン本体の形や重さ、サイズ、素材、そして用途などの仕様に関しては、あらゆる面で今後の検討対象となる。

 販売価格は数万円程度を想定していて特別な技術や訓練も必要なく、誰でもが気軽に使えるミシンを目指している。

 「お客さまがほしい、必要と思うものを提供する」のが同社のモットーで、顧客の声を無視して勝手に用途や仕様を決めて製品開発することはないという。

 会場内ではブース前に集まった人たちの多くが興味津々で製品の説明を聞いたり、使い方のデモンストレーションを見て前のめりの反応を示していた。