吉村知事 「契約に基づき支払いを」
大阪・関西万博のアンゴラ館を巡る工事費未払い問題で、大阪府警は7月28日、施工を請け負った建設会社「一六八建設」(大阪市鶴見区)の元経理担当の男性を業務上横領容疑で刑事告訴・告発した。
告訴状などによると、元経理担当の男性は昨年11月から今年5月にかけ、同社の口座から26回にわたり、約1億2000万円を着服したとされる。一方、男性は「貸し付けた資金を回収しただけであり、横領ではない」と主張している。
建設会社側は、横領が原因で資金繰りが悪化し、「本来支払うべき工事費を用意できなくなった」と説明。未払いの直接的な要因は当該男性の不正行為だったと主張している。
この問題について、大阪府の吉村洋文知事は「会社内部の事情があったとしても、契約に基づく支払いは当然である」と述べ、「行政は横領の事実認定を行う立場ではないが、未払いを許すことはできない」と強調。
さらに、同社が建設業許可を取得していない状態で施工を行っていたことが確認され、大阪府は30日間の営業停止処分を科したことも明らかになった。
アンゴラ館に限らず、他の海外パビリオンでも支払いの遅延や未払いが相次いでおり、吉村知事は「未払いの背景は国・案件ごとに異なるため、個別に丁寧に精査する必要がある」と述べた。