「うちの会社、継ぐ気あるか?」その一言の前に知っておくべき補助金

[プロフィル] なにわのみやコンサルティング増田昌代 1972年生まれ。立命館大学大学院経営管理研究科修了(MBA取得)、中小企業診断士。大手IT企業の経営企画室での経験を基盤に、複数業界でのキャリアを構築。東証上場企業の広報IR責任者を経て2024年に独立。データ分析に基づくWEBマーケティング戦略立案と各種補助金活用支援を得意とし、中小企業の持続的成長をサポート。

事業承継・M&A補助金」12次公募始まる

 日本の中小企業は336万社にのぼり、全企業の99.7%を占めています。従業者数も3310万人と、全体の69.7%を占め、中小企業は日本経済にとって大きな影響力を持つ存在です。
 こうした中小企業の課題のひとつに「後継者不足」がありますが2024年度の『中小企業白書』によると、後継者不在率は52.7%と、前年から1.8ポイント減少し、やや解消に向かう傾向が見られます。
 しかしながら、中小企業経営者の過半数が60歳以上であり、経営者の年齢は依然として高い水準です。
 こうした現状を踏まえ、事業承継やM&Aに関連した設備投資や、事業再編に伴う経営資源の引継ぎ(M&A)、あるいは統合後の事業の再構築(PMI)にかかる費用の一部を補助することにより、日本経済の活性化を図ることを目的としているのが「事業承継・M&A補助金」です。
 補助金の上限額は、事業承継促進枠とPMI推進枠では1000万円、専門家活用枠では2000万円となり、廃業・再チャレンジ枠の上乗せ150万円と同時申請・併用申請が可能です。補助率は、枠組みの条件によって異なり、1/2から2/3以内となっています。
 本補助金の対象となるには、公募申請期日から5年以内に事業承継を完了することが条件です。完了できなかった場合は、補助金の返還が求められます。また、公募申請前に「認定経営革新等支援機関等」から確認書の発行を受ける必要があります。
 承継予定者は、被承継者の親族に限らず、対象企業の役員や、3年以上業務に従事した従業員も対象となります。原則として、承継者本人が補助対象者として申請を行います。
 補助の対象となる経費は、事業承継によって引き継いだ経営資源を活用して生産性向上に資する取組に伴う設備費、外注費、委託費・謝金、旅費などが該当します。
 事業承継により活力ある中小企業が増えれば、日本経済はもっと明るくなるのでは。