議会停滞で市民サービスに遅れ 商品券や改修事業に影響

教育長人事めぐり対立深まる

 市長によると、9日付で公明党、自民党、未来会議の3会派から「田中教育長に辞職を求めるように」との申し入れがあり、11日に文書で回答。「教育長に違法行為は認められず、辞職を求めることには対応できない」とした。
 議会側は、市が交付した補助金の一部が特定団体を通じて還流・迂回された疑いがあるとして、予算案の審議を拒否。市は21団体へのヒアリング調査を進めており、「6月中には一定の結果を出したい」としている。
 焦点の一つとなっているのは、補助金を受けた団体の一つであるスポーツ協会の元副理事長が、4月1日付で教育監に任命された人事だ。市長は「任命された原田氏は、スポーツ協会で司会役を務めた程度で会計には関与しておらず、違法行為に関わった事実はない」と述べ、正当性を主張した。
市長は議会側の指摘を受け、原田氏を教育監から外し、「学校教育指導官」への異動を非公式に提案したものの、「受け入れてもらえなかった」と説明。「歩み寄りのつもりだったが、議会との溝は深い。スポーツ協会の役員経験があるというだけで教育委員会にいられないというルールはない」と理解を求めた。
 当初予算案の審議が進まないことについては「予算案は市民生活に関わるもので、補助金とは直接関係のない部分も多い。予算は予算として審議してもらいたい」と述べ、議会に冷静な対応を呼びかけた。
 市は5月30日に補正予算第2号を成立させ、9月末までの暫定的な予算措置は確保済み。ただ、市長は「新規事業や大規模契約には影響が出る。商品券の配布や施設改修などが遅れている。これ以上の遅延は市民にとって不利益だ」と訴えた。
 会見では議会解散の可能性についても質問が上がったが、市長は「解散の権限は市長にはなく、不信任決議が必要。自分にできる策は限られている」とし、最後に「本当に頭を悩ませている。妙案があるなら教えてほしい」と苦しい胸の内を吐露した。教育長人事めぐり
対立深まる

市政運営について説明する瀬野市長