大阪城公園からほど近い難波宮跡地に、約5000平方㍍の芝生エリアとカフェやショップなどの13店舗が入る商業施設が融合した新名所「なノにわ」が3月29日に開業した。

ARで城下町よみがえる仕組みも
整備が進められたのは、大阪城公園の南に位置する難波宮跡公園の一部。江戸時代には大坂城下の要所として大名屋敷が立ち並び、近年まで城下町の痕跡も残っていた歴史ある土地だ。近年は広範囲が空き地や駐車場として利用されていたが、近隣住民からは「もったいない」と有効活用を求める声が寄せられていた。そんな場所が、緑豊かな芝生広場と商業施設を備えた〝まちに開かれた場所〟へと生まれ変わった。
現地ではスマートフォンをかざすことで、かつての大阪城下町の様子を再現するAR(拡張現実)コンテンツを体験できる仕掛けも導入。オープニングセレモニーに出席した吉村洋文知事は「のんびり芝の上に寝転がって本を読んだり、ARで昔の姿に思いを馳せたりしたい」と語り、新たな都市空間への期待をにじませた。

大阪をけん引する実力店が勢ぞろい
商業ゾーンには、大阪の食文化やライフスタイルをけん引してきた実力派の飲食店が集結。ふわふわパンケーキの「MICASADECO THE PARK」、緑あふれる空間が魅力の「SULK GREEN CAFE」、アイリッシュパブのような雰囲気が楽しめる「THE PORT─on the Green─」に納豆料理専門店「※710 GARDEN」など多彩な店が並ぶ。観光客や地元民に「行ってみたい」と思わせる個性豊かな顔ぶれだ。

本紙主催の「ぱん&スイーツまつり」でも毎回人気のDAIBAN COFFEE(大阪市鶴見区)も常設店をオープン。こだわりのドリンクやアサイーボウルを中心に提供し、朝活スポットとして注目だ。

「キタ」「ミナミ」に続く注目エリア「ヒガシ」!
これまで大阪では、キタ(梅田)がビジネス街と百貨店文化、ミナミ(なんば・心斎橋)が食とエンタメを軸に栄えてきた。だが近年は、ベイエリアの「ニシ」、そして大阪城・森ノ宮地域の「ヒガシ」といった周縁エリアにも注目が集まりつつある。
新たなランドマーク「なノにわ」は、そんなヒガシエリアのポテンシャルを象徴する存在だ。歴史と日常が交わるこの場所から、大阪のまちの新しい魅力が広がっていきそうだ。