歌手生活60年の五木ひろしが坂本冬美と特別公演 新歌舞伎座で10月末から

 歌手生活60年を迎えた五木ひろし(76)が大阪・上本町の新歌舞伎座開場65周年を記念して10月31日から翌11月21日までのほぼ1カ月間で26回の特別公演を行うことを記者会見で発表した。特別出演は33年の付き合いとなる坂本冬美(57)。コロナ禍の間は大劇場での長期公演が行われなかったが、五木も同座では4年ぶりになる。

新歌舞伎座公演で記者会見した五木ひろし㊨と坂本冬美

 内容は同座の売り物である「芝居と歌の2部構成」を踏襲。第1部の芝居は「喧嘩安兵衛~花のお江戸の快男児」で五木が主人公の中山安兵衛(後の堀部安兵衛)、坂本が後に妻となる堀部幸を演じ、安兵衛の幼なじみで吉良家に仕官しライバルとなる清水一学に太川陽介(65)、おかん婆さんに名バイプレーヤー笹野高史(76)、他にもハリウッド映画でも活躍した女優・工藤夕貴(53)、坂本の事務所後輩で今年末に活動停止する森山愛子(39)らが共演。第2部は歌って踊る「スペシャルショー」で、五木と坂本はそれぞれのヒット曲だけでなくデュエットも計画。また工藤と森山も歌で参加する予定。

「コロナで遠のいたお客さまを劇場に戻したい」と語る五木ひろし

 五木は「喧嘩安兵衛は、小野田勇先生(1997年、77歳で死去)の作で、三木のり平先生(99年、74歳で死去)演出で初演したのが三十数年前。以来これで5回目の上演で、新歌舞伎座では20年ぶりとなる。今年は三木先生の生誕100年にもあたり、僕なりに1幕にまとめて上演させて頂く。それでもクライマックスの大立ち回りをはじめ、非常に動きが激しいお芝居。〝幾つまでできるのかなぁ…〟とつい考えてしまう」と背水の陣の決意。「コロナ禍が明けても劇場に足を運んで下さるお客さまは十分戻り切っていない。そうした方々にぜひ再びご来場頂けるような舞台をお目に掛けたい」と自信を示した。

「お客さまがお腹いっぱいになるほど楽しませる」と語る坂本冬美

 共演の坂本はまだ若手だった33年前に五木の公演に共演したのが大舞台の最初。今では自身が座長を務める存在となったが、五木の舞台には何を置いても駆け付ける仲に。「〝中山安兵衛〟は初めて出させて頂くので過去の公演をDVDで見学。盛りだくさんの内容でびっくり。私は10代の気丈な娘役なんですけど、お客さまがお腹いっぱいになるように頑張ります」と抱負。

新歌舞伎座「歌手生活60年五木ひろし特別公演/坂本冬美特別出演」のポスター

 五木は工藤の参加に言及。「井沢八郎(2007年、69歳で死去)先輩のお嬢さんで、今ではお父さんの楽曲も歌われる。次世代に受け継いでいくべき名曲〝あゝ上野駅〟が誕生して今年で60年。皆さんにぜひ聴いて頂きたい」とエールを送った。

(畑山博史)