大阪〝未来〟予想図 万博イヤーに向けて街がパワーアップ

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする2025年大阪・関西万博の開幕まで、3年を切った。大阪府内では万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)をはじめ、大規模開発の計画が進行中だ。槌(つち)音が響くJR大阪駅周辺、開業を控えたなにわ筋線や延伸する北大阪急行線…。街がパワーアップする「大阪〝未来〟予想図」を描いてみた。

2024年春


日本経済新聞社大阪本社跡地で進む複合施設建設計画、大手前1丁目プロジェクト

日経新聞跡にヒルトン
大手前1丁目ロジェクト

 日本経済新聞社大阪本社跡地で進む複合施設建設計画。日本経済新聞社グループのテレビ大阪をはじめ、米ホテル大手ヒルトンが運営する「ダブルツリーbyヒルトン大阪城」が入る。事業主体は日本経済新聞社、大和ハウス工業の2社。昨年8月着工した。2024年春に開業する。


2025年春

高級ホテル「カペラ」
NTT西日本跡地

 大阪城公園近くに位置したNTT西日本本社の移転に伴い、跡地に高級ホテルや広場を整備する。ホテルは地上20階建てで、客室は約220室。高層階には大阪城をはじめ、近隣の難波宮跡を一望できるレストランを整備する。国際会議に利用できる多目的ホールも設ける。ホテルはシンガポールの「カペラ」。


2026年2月


(仮称)心斎橋プロジェクト」の建物の外観(ヒューリック提供)

高さ132mの新ランドマーク
心斎橋プロジェクト

 ヒューリック、竹中工務店、JR西日本不動産開発、パルコの4社が進める心斎橋エリア最大級の複合施設開発計画。地下鉄心斎橋駅に直結した交差点の一角に位置する。高さは132m(地上28階、地下2階)で、店舗、ホテル、オフィスが入居する。


2035年度ごろ


建て替えられる新阪急ホテル

阪急阪神が大規模再開発
梅田ビジョン

 1960~70年代に建てられ、老朽化が著しい大阪新阪急ホテル、阪急ターミナルビルをそれぞれ建て替え、オフィスなどが入る複合施設に改める。さらに、商業施設の阪急三番街は全面改修する予定。近隣のグランフロント大阪と空中デッキで結び、周辺施設との回遊性を高める構想もある。


2024年3月


梅田3丁目計画では2024年3月、JR大阪駅西地区に地上39階の高層ビルが建つ

地上39階の高層ビル誕生
梅田3丁目計画

 大阪中央郵便局の跡地を含むJR大阪駅西地区開発の仮称。2024年3月に地上39階の高層ビルを建設する。オフィス、商業施設、劇場、ホテルが入る。事業主体は日本郵便、JR西日本、大阪ターミナルビル、JTBの4社。当初は12年に完成させる予定だったが、リーマン・ショックのあおりで計画が一時凍結していた。


2025年


京阪電車の淀屋橋駅に直結した高層複合ビル。2025年完成を目指す(京阪ホールディングス提供)

淀屋橋駅直結の高層複合ビル
淀屋橋のシンボル

 京阪ホールディングス(HD)が京阪電車の淀屋橋駅に直結した高層複合ビルを建設する。同HDが打ち出した「大阪東西軸復権」の一環。南北軸の御堂筋と交わる地点に「シンボル」として整備する意向で、2025年完成を目指す。地上28階建てで、オフィスや店舗が入る。


2024年夏


JR大阪駅北側の再開発区域うめきた2期

米ホテル大手、ヒルトン進出
うめきた2期

 JR大阪駅北側の再開発区域。2024年夏に街開き、27年度に本格開業する。米ホテル大手ヒルトンが進出するほか、商業施設や大規模な都市公園も整備される。再開発区域の全体面積は24へクタールで、もとはJR貨物の梅田駅跡地。1期として13年4月に商業施設やオフィスが入るビル群「グランフロント大阪」が開業した。25年大阪・関西万博との相乗効果で関西全体を盛り上げていくことが期待されている。


2030年春


梅田のシンボルとして約50年間親しまれてきた大阪マルビル

賑わい〝創出の場〟に進化
大阪マルビル

 梅田のシンボルとして約50年間親しまれてきた大阪マルビルが建て替えとなる。来年3月末でホテル営業を終了し、夏に解体を開始。2025年大阪・関西万博の開催期間中は解体後の敷地をツアー専用バスターミナルとして提供した後、30年春に完成する。


2024年夏頃

地上23階の新駅ビル誕生
JR大阪駅西側開発

 JR西日本の計画によると、大阪駅西側の高架下に新たな改札口を整備する。運用開始は2024年夏。さらに、新改札口に隣接した新たな駅ビルを建設し、同年秋に開業する。新駅ビルは地上23階、地下1階。商業ゾーン、オフィスゾーンで構成する。また、高架下にバスターミナルを新設するなど27年春にかけて大阪駅西側の玄関口を整備していく。


2025年


万博会場のイメージ図(日本国際博覧会協会提供)

未来社会の実験場
大阪・関西万博

 2025年4月13日~10月13日、人工島・夢洲で開催。「未来社会の実験場」をコンセプトに先端技術が集結する。日本初の商用飛行を目指す「空飛ぶクルマ」などが注目の的だ。来年4月以降にパビリオンの建設が始まる。会場へのアクセスのため大阪メトロ中央線が人工島・咲洲(さきしま)のコスモスクエア駅から延伸され、「夢洲駅(仮称)」が新設される。


2029年秋冬


カジノを含む統合型リゾート施設のイメージ(MGMリゾーツ・インターナショナル、オリックス提供)

経済波及1兆円超え
大阪IR

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、国土交通省は4月に大阪府・市が提出した区域整備計画を受理した。認定の可否決定は今秋以降。府・市は米大手MGMリゾーツ・インターナショナル日本法人とオリックスを中核株主とする事業者と共に、人工島・夢洲に整備する計画。年間来場者数は2千万人、経済波及効果は年間1兆1400億円(近畿圏)を見込み、2029年秋~冬の開業を予定しているが、防災対策などの課題も抱えている。


2023年


既存の千里中央駅から北方へ約2.5キロ延伸する北大阪急行線の延伸事業(箕面市提供)

千里中央から箕面へ延伸
北大阪急行線延伸

 既存の千里中央駅から北方へ約2・5キロ延伸する。これに伴って、箕面船場阪大前駅(地下駅)と箕面萱野駅(高架駅)が設置される。2023年度開業。箕面市で進む新駅周辺のまちづくりは加速しそうだ。


2031年春


大阪市内を南北に貫く新線なにわ筋線。2031年春開業予定

関空へアクセス向上
なにわ筋線開業

 大阪市内を南北に貫く新線で、2031年春開業予定。JR大阪駅北側の再開発区域「うめきた2期」の地下に整備する新駅とJR難波駅、南海電鉄新今宮駅を結ぶ。大阪市中心部から関西空港へのアクセス向上が期待されている。


2027~32年

夢洲へ高速道路
淀川左岸線整備

 新大阪駅近くから大阪・関西万博会場の人工島・夢洲へつながる高速道路網の一部で、2027年3月完成予定。25年の万博期間中はシャトルバスの専用道として先行利用する計画。また、淀川左岸線の延伸部は、第2京阪道路と近畿自動車道が交わる門真市の門真ジャンクションまで延び、32年度完成を目指している。
2027年3月完成予定の淀川左岸線整備


2023年春

コストコ進出
パナソニック工場跡地

 三井不動産が門真市のパナソニック工場跡地で大規模開発を推進。会員制倉庫型店コストコホールセールや分譲マンションなどが進出する。2023年春に開業する。


2025年

森之宮にメインキャンパス
大阪公立大

 大阪府立大と大阪市立大を統合し、今年4月に誕生した新大学「大阪公立大」。2025年度には大阪城東側の森之宮地区にメインキャンパスを設置する。敷地面積は約1万9300平方メートルで、整備事業費は約420億円。新校舎は13階建て、高さ約60メートル。


2023年秋

イオンタウン開業
守口市役所跡地

 守口市の「旧本庁舎等跡地活用」について、NTT都市開発とイオンタウンが複合開発「(仮称)Link City Moriguchi」を提案。商業棟は「イオンタウン守口(仮称)」が2023年9月、住宅棟は24年6月に完成予定。