大阪府教育庁は、毎年3月10日前後の府立高一般選抜を、2月下旬に前倒しするなどを盛り込んだ入試制度改善の素案を公表した。私立高の無償化などで減少する公立高の志願者に歯止めをかけたい考え。8月に大学教授らで構成する「府学校教育審議会」に答申し、早ければ現中学2年が対象の2026年度入試で導入する。
公立高出願者数16年度以降過去最少
府内の高校入試をめぐっては、少子化に加え、2024年度から段階的に始まった所得制限を撤廃する「高校授業料無償化」の影響で私立人気が高まり府立高校の志願者数は減少傾向にある。今春の入試では私立高の「専願」が過去20年で初めて3割を超えた。一方、公立高の志願者は現行制度になった16年度以降最少。平均倍率は1・05倍(昨年度1・13倍)となり、定員割れの高校は75校中32校。昨年度よりも18校増え、公立人気の低迷を懸念する声が出ていた。
受験生の特徴を加味 「特色入試」の導入も
府立高の現行の入試制度は、2月中旬に一部学科で実技などを伴う特別選抜、3月10日前後に大半が実施する一般選抜を行っている。
素案では両選抜を2月下旬に一本化して実施。3月下旬の(定員に満たない高校の)2次試験も3月上旬に前倒しするとしている。このほか、ボランティアやクラブ活動など受験生の経験や特徴などを加味して選抜する「特色枠」の新設なども盛り込んだ。
私学からは反発の声
試験の前倒しには、合格者の最終決定が早まることで高校側の新入生の受け入れ準備期間が確保できることや、「入試の早期決着で受験生の負担が減らせる」(府立高校教諭)などの利点があるという。
一方で府立高入試日程の前倒しをめぐっては、私学側は反発姿勢を見せており、「子どもたちの選択肢を広げるべきで、私学の入試日程も前倒しを検討するべきだ」という声も上がる。