【外から見た日本】AIと競う世界!?

Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏

 最近、AIの開発が急激に進んでいますが、AIは私たちの仕事を奪ってしまうのか?
 
『AIが仕事を奪う可能性はありますが、同時に新たな仕事や役割を生み出す可能性もあります。

 AIは、特定の作業やタスクを自動化することができるため、人間が行っていた仕事を代替することがあります。例えば、自動車工場での組み立て作業や、銀行での口座開設や取引履歴の処理などは、既にAIによって自動化されています。

 しかし、AIが人間に代わってできない仕事もあります。例えば、クリエイティブな仕事や人間とのコミュニケーションが必要な仕事、判断力や人間的な洞察力が必要な仕事などです。

 また、AIによって新たな仕事や役割が生まれる可能性もあります。例えば、AIエンジニアやAIアナリストなどの新しい職種が登場することが考えられます。

 AIによって仕事が奪われるかどうかは、産業や業種、技能レベルなどによって異なります。しかし、AIが進化する中で、人間が持つ独自のスキルや特性を生かした仕事が重要性を増す可能性があるため、人間がAIと共存し、相補的な役割を果たすことが求められています。』

 2重鍵括弧(かっこ)の中の文章は、私がChatGPTというAIに「AIは仕事を奪うのか?」と尋ねた際の回答です。この回答は数10秒の間に書き出されました。

 これは未来の話ではなく、今現在の話です。AIの能力はここまで来ています。AIが自ら回答している様に、単純作業や同じ動作を繰り返す作業は既にAIが担っています。今後ホワイトカラーの業務、例えば判例や法律を駆使する弁護士の仕事の大部分もAIに置き換わっていく事は間違いありません。起業のマーケティングや営業、企画開発も同じです。

 通訳などもAIを駆使したかなりレベルの高いサービスがどんどん出て来ています。

 個人的にも以前は翻訳会社などを利用していましたが、今はオンラインの自動翻訳で大体対応出来てしまっています。

 AIはクリエイティブな仕事は出来ない、と回答していますが、既に簡単な単語や文章からイラストやアニメ、デザインを製作したり、台本に合わせて映像を編集したりするAI機能も存在するので、本当の意味でのクリエイティブな仕事でないとAIに勝てないでしょう。それは作品の出来だけでなく、製作のスピードや値段の部分でもとても人間には太刀打ち出来ないレベルになると思われます。

 またコミュニケーションが必要な仕事もAIには難しい、と回答していますが、実際Metaが開発したCICERO(シセロ)と言うAIは、対話エンジンと計画エンジンの両方を持つAIモデルで、人間と交渉したり、人間を説得できるそうです。

 と言う事で、AIに負けないためには、与えられた情報をそのまま鵜呑(うの)みにしていたり、文面だけを読んで対応するのではなく、その情報の中にある真意をくみ取り、その背景にある利害関係や意図を読み取り、そこから自分の経験や知識を踏まえて思考する。その上で何かしらの結果を出し、行動へ移す、という様なプロセスを取れる人材にならなければ、これからの世の中で生き残っていくのは難しいだろう。

 自分で情報を集め、考え、判断出来る能力を身に付けること。そのために他者とコミュニケーションを取れる事がとても重要になる。人と交わり、意見を交わし、その都度考え、柔軟に思考を巡らす。

 学校の勉強が出来る、TOEICで高得点が取れる、偏差値の高い学校へ進学する、と言った事は今後どんどん価値を失っていくと思って、自らの未来を考えるべき時にきています。まずは、自分の能力や経験で何が出来るのかAIに聞いてみると良いのでは?

【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。